六百三十一話
現世へと戻ってきたクロードに与えられた次の指令は未帰還者の捜索だった。
妖怪を間引きに行ったものの帰還時期を過ぎても戻らず緊急を要する。
捜索場所は鍾乳洞となっており水生の妖怪を巣くっている。
クロードは復帰した詩織と翠を連れて妖怪の住処へと足を踏み入れた。
足を踏み入れて驚いたのは負の瘴気の濃さだ。
あまりの濃さに嫌悪感を覚えるがこのまま去るわけにもいかない。
しばらく進むと水妖の代表とも言える液状の妖怪。
異世界風に言えばスライムが大量発生している。
「ここは常にこんな感じなんですか」
「いえ、ここまで大量発生しているのはおかしいわ」
「１体１体は弱いけどここまで異常発生してると手間取るわね」
「このまま放置ってわけにもいかないか」
クロード達は水妖を駆除しつつ奥へと足を進める。
しばらく進むと水が溜まっている場所があり頭に皿をのっけた妖怪、河童達がたむろしている。
クロード達の存在を認めると問答無用で襲いかかってくる。
クロードと詩織が前に出て翠が札でフォローする。
詩織と翠は前回の不覚を恥じと思っているのか積極的に戦闘に参加していた。
クロードは天照大神との特訓で神力の使い方が上手くなり必要最低限の神力を込めることで対応している。
出力を上げて必要以上に神力を使えばこの世界に悪影響を与えると言われていたからだ。
世界への影響を考えないのならこうした妖怪の住処に神々が介入すればいい。
神力が溢れればそれだけ妖怪達も活気ずく。
それをしない為に必要最低限の支援に留めているのだ。
河童達との戦闘を終えて少し休憩する。
とはいえ、クロードは行方不明者の痕跡を探してうろうろしていた。
そして、水に濡れた札を発見した。
どうやら何かがあり札を落としたのだろう。
切り札となる札を落とすほどの何かがあったのだ。
何があったのかはわからないが急いだほうがよさそうだ。
休憩を終え先を急ぐ。
すると洞窟は分かれ道になっていた。
どちらに行ったのかはわからない。
その為、詩織と翠が組みクロードは単独で奥へと向かう。
先を急ぐクロードの行く手をガマガエルのような妖怪が行く手を遮る。
剣で斬り裂こうとするが剣が滑る。
どうやら皮膚に含まれる油が原因のようだ。
斬るのを諦めて突きに切り替える。
手間はかかるが確実にガマガエルを排除して歩を進めた。
しばらく進むと何かの音がする。
クロードはその場所に急いで向かうのだった。
