六百一話
「そんなこと言っていいんですか。貴方の為にも頑張って来たのに」
そもそもクロードが修行の旅に出たのはロキを討伐する力を手に入れる為だ。
文句を言われる筋合いはない。
「ぐぐぐ・・・。そう言うってことは前向きに検討してくれるのよね」
ヴァルキリーのブリュンヒルトとしては使命が果たされる分には歓迎なのだ。
「詳しいことはまた今度にしましょう。それより席に案内してください」
「わかったわよ。奥の席にどうぞ」
そう言って案内をはじめた。
店内はそこそこ賑わっており経営は順調のようだ。
「それで、注文はどうするの」
「僕はロイヤルミルクティーを」
「私は紅茶をストレートで頼むよ」
「かしこまりました」
クロードがお茶に誘った理由は監督官の先生を気遣ったのもあるが学園の現在の状況を知るためでもある。
監督官の先生もその辺はわかっていたので丁寧に説明してくれた。
大きく変わったのは演習だ。
学園では今までは様々な地域で演習を行っていたが王都にダンジョンが出来た為、その恩恵にあずかり演習の多くを王都のダンジョンに割り振っている。
そのおかげもあり生徒達は大きく実力を伸ばすことに成功している。
後は試験的にネツァルが開発した魔道具の試験評価も志願制で学園生が担っている。
たまに暴発したりもするがその成果は大きく戦闘を苦手とする生徒の助けになっているとのことだ。
そして話題に上がったのはシンラ帝国との戦争のことだ。
ゲルマン王国では国家総動員令が出され修学中である学園生も輸送部隊の護衛として色々活躍したらしい。
そして、何故かエリーゼの班だけは何度も襲撃を受け襲撃者を撃退した話を聞かされた。
エリーゼの実力は知っていたがその話を聞いてしっかりフォローをしようと決めた。
その後は来た飲み物を楽しんで店を後にした。
学園に戻ったクロードはまだ時間があった為、ケーキ作りをしていた。
今回作るのはブルーベリーのチーズケーキだ。
タルト生地を作って型に張り付けとかしたクリームチーズに潰したブルーベリーを混ぜ合わせ流し込む。
生のブルーベリーも流し込んだクリームチーズの中に散りばめオーブンに入れ焼きあがるのを待つ。
出来上がったらブルーベリーとミントを飾りつけ完成だ。
これで手土産は出来上がったのでエリーゼが帰ってくる頃に訪ねようと今から楽しみなクロードであった。




