五百九十五話
「最後にクロード殿。少し頼まれごとをしてくれないか」
「何でしょうか」
「この３人が外界に出ていくわけだが世界樹に引きこもっていた関係で世間に疎いという問題がある。当面の間の世話をしてほしい」
「わかりました」
人生経験という面では問題ないだろうが人間の社会にうまく溶け込むのは苦労するだろう。
そこで、クロードが間に入ることで少しずつ人間社会に慣れさせればよいだろう。
「必要であればいつでもここに訪れるといい。世界樹はいつでも歓迎する」
それだけ言って精霊王は光となり去っていった。
「はぁ・・・。お前さん達がエルダーエルフか。長年連れ立った相棒と別れることになるとはな」
「確かに寂しいものがあるわね」
４大精霊もどこか寂しそうだ。
「私達は先達のように死ぬつもりはありません。必ず役目を果たして戻ってきますから」
ハイエルフ改めエルダーエルフ３人組はそう言い切った。
「ところで、エルダーエルフの役目とは何でしょうか」
「各地の魔力の調整が１つ。後は精霊の意志と反して道具に封じ込められた精霊の解放です」
「魔剣などですか・・・。国の上層部には相談しますが中々難しそうですね」
精霊の封じられた道具というのは危険性もはらむが物によっては国宝などになっているだろう。
そういった物を国々が簡単に手放すとは考えづらい。
「我らも出来る限りのことをするので手を貸してほしい」
４大精霊からもそのように頼まれてしまった。
「ではそろそろ行くとしましょうか。僕につかまってください」
エルダーエルフ３人が捕まったのを確認して転移魔法でゲルマン王国の王都に飛んだ。
クロードが王都を離れて１年ぐらい経っている。
クロードは門から貴族証を提示して入都してそのまま王城を目指した。
この時期の王都は戦争が終結した直後であり人々が忙しそうに動き回っている。
それは王城も同じで国王であるポセイドスに謁見を申し出たが応接室で少し待たされることとなった。
エルダーエルフの３人ははじめて訪れた街や王城に興奮しているのか少し騒がしい。
わいわい騒いでいるところに国王陛下であるポセイドスが宰相であるリッチマンを連れて入室してくる。
「陛下。ご無沙汰しております」
「おぉ。クロードよ。修行の旅は終わったのか」
「はい。目的は達しました。陛下にご紹介したい者がおります」
「うむ。話を聞こう」
