五十九話
出てきたワーカーアントは今までの物よりサイズが大きくいかにも強そうな雰囲気を醸し出していた。
ネツァルさんが魔法を放つが倒れることなく耐える。
「杖を持った状態の儂の魔法を耐えるとはやるのう」
ネツァルさんが攻撃した巨大ワーカーアントに刀を振るい斬りつける。
ワーカーアントが霧になって消えていく。
「これならなんとか行けそうです。次々いきましょう」
阿吽の呼吸でワーカーアントをしとめていく。
「うむ。倒せておるのはいいがせっかくのドロップ品を回収する暇もないの」
巨大ワーカーアントはその巨体に見合わず物凄いスピードで距離を詰めてくる。
こうなるのはわかっていたのでクロードは冷静にワーカーアントを捌いていく。
通路にいたワーカーアントを討伐しきったのはかなり時間が経っていた。
「空欠というわけではないがかなり魔力を持っていかれたの」
ドロップ品を回収していたクロードは振り返って相談する。
「この後はどうしますか」
「お主は余裕そうじゃの。回復薬を使えばまだまだいけるはずじゃから部屋の方にもチャレンジしたいのぅ」
「わかりました」
クロードはゲーム時代はソロプレイヤーだったので短時間狩っては安全地帯に戻ってを繰り返していたのだが魔法職が一人加わるだけでこんなにも楽になるのかと驚いていた。
ネツァルはこの世界では最高峰の実力者であり他の人材ではここまでうまくいかなかったであろうことを追記しておく。
部屋に侵入したクロード達は大量のワーカーアントに囲まれていた。
今までのように一撃必殺というわけにもいかないため徐々に追い詰められていた。
「流石にこれはちとまずいのう」
クロードも上級魔法であるブリザードストームを使っていてこの状況である。
前衛であるクロードはネツァルさんの方に行かないよう立ち回っていたが背にしていた通路から一匹のワーカーアントがネツァルさんに襲いかかる。
ネツァルさんがワーカーアントの一撃を食らうがすぐに反転して連続で魔法を放つ。
「ぬぅ。舐めるでないぞ。蟻ごときにやられる儂ではないぞ」
ネツァルが後方に対応している間クロードにその負担がかかることになる。
クロードはここまで被弾しないように立ち回ってきたが体力の値を考えれば多少の攻撃は食らっても大丈夫なはずだと言い聞かせ武技回転乱舞を発動させる。
瞬く間にワーカーアントを倒していくがその代わり技の反動で後続のワーカーアントには無防備をさらすことになる。
攻撃を覚悟していたが態勢を整えなおしたネツァルの援護でことなきを得るのだった。




