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五百八十一話

神力を使ったクロードの体はボロボロだった。

状況を見守っていた精霊王が介入し保護をしたが崩壊を防ぐのがやっとだった。

「あらあら、大変なことになっているわね」

そう言って何の前触れもなく１人の女性が入ってくる。

その女性を見て精霊王は深く頭を下げる。

「このようなことになり申し訳ありません」

精霊王としてもあのゴーレムは想定外のことだった。

だが、自分の管轄する世界で起きたことであり責任は自分にある。

「別に貴方を責めようとは思っていないのだけどね」

そう言って女性はクロードに手をかざす。

すると崩壊しかかっていたクロードの体が再生されていく。

精霊王との力の差を見せつけられた思いだ。

しかし、精霊王はそれも当然だと考えていた。

このお方は神々を生み出した１柱なのだから・・・。

この世界には圧倒的な力を持った神が２柱存在する。

その２柱の神は陰と陽の関係だ。

それぞれに自分を補佐をする神を生み出して仕事を任せている。

激しく対立していた２柱の神であるがその関係は次第に変わっていった。

そして２柱の神は恋に落ち、子を成した。

その子供は陰と陽の２つの属性を引き継ぎ両親である２柱の仕事を手伝うようになった。

強大な力で配下の僕を作ることもあれば暴走する神を討伐する神殺しとして神々に畏怖と尊敬の念を送られることとなる。

生みの親である２柱の神はとある強大な神を討伐した子供が傷ついていることに気づいた。

２柱からすれば赤子のような存在であるが他の神々からすれば恐れられ親しい者がいないことに悩んでいた。

そこで神としての力を封じ人として生活をしてみたらどうかと勧め子供はそれを受け入れた。

２柱の神は戦いに巻き込まれることのない世界として地球の日本を選び子供を転生させた。

その子供は働き続けてきた反動か引きこもりのニート生活を送っていたが２柱の神としてはそれもまたいいかと考えていた。

ところが北欧の神々が中心となり余計なちょっかいを出してきた。

災害で命を奪い自分達の管轄する世界に強引に魂を引き入れたのだ。

怒り心頭の２柱の神であったが配下の神々に止められ制裁を加えるのを我慢した。

クロードと名付けられたその子供は順調に成長して今、目の前にいる。

しかし、まだ姿を見られるわけにはいかない。

泣く泣く女性の神はクロードの頭を撫でてから精霊王の元を去っていった。

精霊王は自然と息を吐きだした。

同じ空間に分体を送り込まれただけでこの状態。

精霊王はクロードの状態が安定しているのを確認してイフの家へと転移させるのだった。