五十一話
決闘を無事終えたクロード達は使用人に案内され応接室に向かっていた。
応接室に入室すると国王であるポセイドスと宰相のリッチマンが待っていた。
頭を下げてから椅子に座るとポセイドスが口を開く。
「派手にやったの。出来る限り抑え込むつもりではあるがこれからもこういう輩は出てくるだろう」
「冷静に考えれば悪手だとわかっていたのですがすみませんでした」
「いやいや。クロードが怒らなければ僕が同じことをしていただろう」
兄様が苦笑いしている。
「我々を呼び出したということは何かお話しがあったのでは」
「本題に入りましょう。クロード殿には実績を積み上げもっと出世して頂きたいと我々は考えています」
「僕はまだ8歳です。十分出世していると思うのですが」
「年齢を考えればそうであるがの。実力を考えれば重要なポストについて欲しいというのが本音だ」
「陛下。お言葉ですがプロミネンス家を重用しすぎていると見る者もでるのではないですか」
王家が一つの貴族を優遇すれば当然反発する者もでる。
「ファイネル殿の懸念はもっともですが我々はそれを承知でこの話をしています」
「ここだけの話だがどうも各地の魔物の動きが活発化しているように見える。戦力は少しでも確保しておきたい」
「クロードは確かに戦力としては破格です。指揮も執れて単体戦力としても王国でも屈指の実力者でしょう。ですが私は父親として幼い息子を差し出すわけにはいきません」
「ファイネルの気持ちもわかる。儂とて自分の子供を危険な目には遭わせたくはない」
「でしたら結論は決まっているではないですか」
「ファイネル殿。落ち着いてください。正面で戦うだけが戦力の増強ではないのです。最近プロミネンス家は良品質の装備や回復薬を輸出をしておられますね」
「確かにしておりますがそれが何か」
「プロミネンス領では取れない類の物も混じっておりますがそれを提供しているのはクロード殿で間違いないでしょうか」
「確かにクロードが大きく貢献しているのは確かです」
「クロード殿が男爵になったことで何か仕事をして頂く必要があるのですが装備や回復薬の調達調整を任せたいと考えております」
「王宮との直接取引ということでよろしいのでしょうか」
「話が早くて助かります。間に商会を挟んでいただいても構いませんのでお引き受けいただければと」
「つまりは今まで通りで搬入先が変わるだけですよね。それでしたらお引き受けしても問題ないと思います」
「地味な仕事ではあるが装備が整い消耗品である回復薬が確実に手に入れば国力増加に繋がる。任せたぞ」
「全力を尽くします」
こうして新たな役目を引き受けて会談は終了した。




