五百五話
世界樹100層のボスはゴブリンロードである。
しかし、ただのゴブリンロードではない。
常に属性をまとい弱点である属性でしかダメージを与えられない素敵仕様となっている。
取り巻きとして出てくるゴブリンジュネラルも実にめんどくさい。
こちらも属性をまとっており火、水、土、風の各属性が100体ほどいる。
作戦としては実にシンプルだ。
成長した精霊達に各属性のゴブリンジュネラルを担当してもらい、その間にゴブリンロードの相手をする。
今までは指示を出して精霊達に魔法を使ってもらっていたが今回はその余裕がない。
とはいえ、クロードに付き従う精霊達は数百体を超える。
数の上ではこちらの方が有利だ。
視線を巡らせ精霊達が頷いたのを確認して扉に手をかける。
扉は自動的に開いていきボス部屋へと足を踏み入れた。
部屋に設置された燈に火が灯っていき部屋全体を明るく照らす。
奥の玉座にゴブリンロードが腰かけておりその前にゴブリンジュネラルが隊列を作っている。
一番近くにいた地属性のゴブリンジュネラルに風の精霊達がトルネードで先制攻撃を仕掛ける。
風の刃が地属性のゴブリンジュネラルに襲いかかり霧へと変えてゆく。
他の属性の精霊達も各々作戦を実行すべく行動を開始する。
ゴブリンジュネラルは精霊達に任せて大丈夫だと判断してゴブリンロードを相手すべくクロードも行動を開始した。
最短ルートを確認し時には邪魔なゴブリンジュネラルを吹き飛ばしながら悠然と構えるゴブリンロードに風の精霊を宿した剣で渾身の突きを放つ。
ゴブリンロードは玉座ごと吹き飛び転倒する。
ゴブリンロードはその巨体からは想像もできないほどの反応速度で起き上がる。
ゴブリンロードは風の属性を宿したと思ったら今度は火の属性を宿している。
属性を変更することにより身体能力も変化するようだ。
いきなりの侵入者に吹き飛ばされご立腹なのだろう。
ゴブリンロードが息を吸い込んだと思ったら火を吐き出してきた。
ゲーム時代にはなかった能力だ。
実に多芸である。
射程も中々のもので水の精霊が水の膜を作ってくれなかったらダメージを負うところであった。
ゴブリンロードは風属性となりこちらに突っ込んできている。
冷静に最小限の動きで躱しカウンターで地属性の精霊を宿した剣で連撃を放つ。
残念ながら傷は浅くしか与えられなかったが精霊達とのコンビネーションは十分通用している。
これなら時間の問題だろう。
しかし、ゴブリンロードが奥の手を隠しているとはこの時はまだ思ってもいなかったのである。




