五百話
五百話記念の閑話です。
時期も丁度良いのでひな祭りにしてみました。
次回更新はいつも通り日曜日の予定です。
これはクロードが旅立つ少し前のことである。
クロードは理事長であるサイネルに許可を取り学園の広場で日曜大工に精を出していた。
今作っているのはひな壇だ。
並べる人形はコツコツと作っていたので後はひな壇を完成させて飾り付けるだけだ。
一番苦労したのは人形に着せる服だったが王都の服飾店に人形を持ち込みデザインを見せると職人が面白そうだと乗ってくれた。
流石に和装とはいかなかったが和風に洋風が合わさったこの国にはないデザインとなっている。
職人はこれは流行るとデザインの使用許可を欲しがるほどであった。
クロードはひな祭りが終わるまで待ってくれるならと許可を出した。
ひな壇は7段作りの一番豪華な仕様である。
1段目は男雛と女雛。
2段目は三人官女。
3段目は五人囃子。
4段目は随身。
5段目は仕丁。
6段目と7段目はお化粧箱や御所車、駕籠などの嫁入り道具。
随所に桃の花のついた枝も飾る予定だ。
それ以外にも学園に残っている人達に少しでも楽しんでもらおうと料理も用意している。
ハマグリは流石に用意できなかったので似たものを使いお吸い物を。
他にもちらし寿司やひし餅にひなあられを再現して用意してある。
生徒や教師が興味深そうにこちらを見ているが気にせずにひな壇を完成させ赤い布をひいて人形を丁寧に並べ他の飾りも並べて準備は完了だ。
理事長であるサイネルも興味をひかれたのか様子を見に来た。
「う~ん。聞いたこともない文化だけどこうやってみると壮観だねぇ」
「男子には申し訳ないですけど女の子のお祭りですからね」
「確か、女の子のすこやかな成長と健康を願うお祭りだったね」
「えぇ。でも、男子をのけ者にするつもりはないですけどね」
そういってクロードはアイテムボックスから料理を次々と取り出して並べ拡声魔法でこちらを見ていた生徒に呼びかける。
「今から料理をお出しします。よろしければ食べていってください」
生徒も教師も興味を示し列をなして並んでいる。
給仕するのがクロードだけなので列は中々途切れないがクロードは気分よく給仕を続けた。
途中で騒ぎに気付いたアイナが手伝おうとしたのだが女の子のお祭りだからと断り参加させた。
エリーゼとミーシェも加わっておりイベントは大成功のようだ。
女子達は目聡くひな人形が着ている服に興味を示し服飾店を教えることとなった。
王都では和風と洋風が合わさった服が大ブームとなったのだがそれはまた別のお話である。




