四十八話
クロード達は王宮から呼び出され再び家族で王都を訪れていた。
謁見まで時間があるため前回訪れた古書店にやってきていた。
店員の老人が愛想よく出迎えてくれる。
「ほっほっ。よく来たのう」
様々な方面で十分な利益をあげているクロードはかなりの額の小遣いを与えられており気になった本を次々に抜き出して並べていく。
「買ってくれるのはうれしいがそんなに大丈夫かの」
「次に王都にこれるのはいつになるかわからないので」
クロードは代金を支払い購入した本をアイテムボックスにしまい込んでいく。
「これだけの本を買ってくれた礼じゃ。何か欲しい本があればそういった方面の本をそろえることもできるがどうする」
「そうですね。やはり古代魔法関係があればうれしいです」
「うむ。時間はかかるが買い手が少ないから集められるじゃろう」
「再来年には王都の学園に入学する予定なのでお願いします」
古書店を後にして目的もなく街をブラブラ探索する。
高級街を離れ一般住宅エリアに入ると露店が数多く並んでいる。
たまにはこういうのもいいだろうといい匂いを漂わせている串焼きを三本ほど購入する。
一本にかぶりつき残りはアイテムボックスの中に入れてしまう。
再び歩き出すと泣いている女の子の声が聞こえてきた。
放っておくわけにもいかないかと思い女の子に声をかける。
「どうしたの」
「えっぐ。お母さんとはぐれちゃったの」
「そっか。それは大変だね。一緒に探してあげよう」
「ありがとう。お兄ちゃん」
泣き止んだ女の子からくぅ~と音がする。
「お腹が空いてるのかな。よかったらこれをあげるよ」
アイテムボックスから先ほど買った串焼きを一本取り出し女の子にあげる。
「お兄ちゃん。これ美味しい」
「それはよかった。はぐれないように手を繋ごうね」
「うん」
「お母さんは何を買うとか言ってたかい」
「え~っとね。お魚とお野菜買うって言ってたよ」
「そっか。それじゃぁ。お魚屋さんと八百屋さんを探してみようか」
「うん」
クロードは女の子と手を繋いだままお魚屋と八百屋を探して歩いていく。
いなくなった娘を探していたらしく女の子のお母さんはあっさり見つかった。
「メリィ。よかった急にいなくなったから心配してたのよ」
「お兄ちゃんが一緒にお母さん探してくれたの」
「ありがとうございます」
「いえいえ。放っておけなかっただけですから」
女の子と母親は頭を下げた後人混みに消えていった。
クロードももう戻らないといけない時間のため宿屋に向かって歩いていくのだった。




