四百七十六話
エリーゼと理事長であるサイネルは改めて牛鬼から出現したダンジョンの情報を聞いていた。
ダンジョンは鬼系の魔物が出るダンジョンであり全100層からなる。
スタンピードは発生しないように制御されており5層進むごとに転移陣が使用可能となり10層ごとにボスが配置されている。
今は配置されていないが将来的には余った魔力でアイテムがランダムで生成され宝箱が配置される予定らしい。
「ここまで都合が良いダンジョンがあってよいのだろうか」
「元来ダンジョンとは神々が人の為に作ったものであるからな。何も問題などないぞ」
ここで明かされる驚愕の事実である。
確かに多くのダンジョンは災厄を招く可能性もあるが適切に管理されれば人々に多くの益をもたらしてくれるものであった。
「こんなところでダンジョンの最大の謎が解き明かされてしまうとは」
「では我は戻るゆえ。サラバ」
説明は終えたと言わんばかりに牛鬼は宝玉に戻ってしまった。
と、同時に理事長室に教員の一人が駆け込んでくる。
「理事長。大変です。学園の敷地内にダンジョンが出現しました」
「承知している。学園所属の警備兵で直ちに封鎖し生徒が入り込まないように手配してくれ」
「わかりました。そのように手配します」
「それが終わったら王国騎士団に使いを出してくれ」
「お任せください」
そう言って教員は去っていった。
「叔父様。調査なら私に」
「いや。許可出来ない。大丈夫だと思うが王国騎士団に任せるんだ」
サイネルもエリーゼが腕をメキメキ上達させているのは知っているが未知のダンジョンに王女であるエリーゼを投入する気はなかった。
「むぅ。叔父様の意地悪」
そういってエリーゼは自分の寮へと引き揚げていった。
「はぁ。実力は上がったが少々お転婆な所が玉に瑕だな。兄上に報告しなければ」
そういってサイネルは王宮へと出かけていくのであった。
新しく学園に出来たダンジョンは王国第三騎士団が調査する運びとなり1週間をかけて調べられ牛鬼の言っていた通りの機能があることが確認された。
念のため管理部隊が配備されたが学園生に公開される運びとなった。
これに伴い学園のカリキュラムが大幅に変更され午前中に授業が終わり授業が終わった午後から果敢にダンジョンに挑む生徒達の姿があった。
エリーゼも当然のようにパーティーを組み日々ダンジョンに挑んでいた。
この結果、学園生は実力を大きく伸ばすこととなり牛鬼の狙い通りとなるのだった。
またこのダンジョンから採取された魔石により王都の魔道具使用率は大幅に改善されるのであった。




