四十七話
リムテック伯爵領で起きたスタンビードは原因であったオークロードが王宮騎士団の手で討伐され解決された。
国王ポセイドスは宰相のリッチマンと共に各領主と騎士団からの報告書に目を通して褒賞をどうするかの話し合いをしていた。
「各領主には報奨金を渡すとして問題はプロミネンス侯爵家だな」
「迅速な救援に総崩れの防衛線の再建。極めつけは少数によるダンジョンの封鎖ですね。封鎖を行ったのは三男のクロード卿のようです」
「クロードにプロミネンス騎士団が合わさればオークロードの討伐も可能だったはず。これは功績を譲られたな」
「騎士団も急いで向かったはずですが包囲戦には間に合わずオークロードの討伐を成していなければ面子が丸つぶれでした」
「よし。決めたぞ。報奨金はもちろん渡すが陞爵してクロードを男爵にしよう」
「そんな簡単に陞爵を決めてよろしいのですか」
「実力を考えれば男爵ですら不適当だろう。だが年齢を考えるとあまり焦るのもよろしくない。将来的にはもっと出世してもらわねばと考えておるがの」
「陛下はクロード卿をどうしたいのですか」
「クロード次第ではあるが騎士団の新設や重要ポストへの徴用を考えておる」
「わかりました。私の方でも陞爵が少しでも順調にいくように手配を整えます」
「頼むぞ」
クロードは魔道具の改良をしたり古代魔法の研究で砂漠地帯に出向いたりと自由きままな生活を送っていた。
今日は父様に頼まれた品の錬金術の素材を集めに秘境の森を訪れていた。
「前回来たときは酷い目にあったからな。慎重にいこう」
秘境に生息している魔物は強いが倒せないほどではない。
問題は数が多いことである。
「抜き足差し足忍び足っと」
目的の薬草を見つけ周囲に気を使いながら回収する。
魔物の気配を気配探知で感じ取り迂回しながら進んでいくと薬草の群生地帯を発見する。
「取りたいけど行ったら戦闘になるなぁ。一瞬であいつを倒せばなんとかなるかな」
狙っているのはアースドラゴンである。
クロードは歩法俊雷で距離をつめ首を斬り飛ばす。
アースドラゴンはどさりと横に倒れてから霧となって消えていった。
竜種のドロップ品はどれも貴重であり高額になるが喜んでもいられない。
今のどさりと言う音で異変を察知したアースドラゴンが向かってきているからである。
「慎重にやったつもりだったのに結局こうなるのかよぉ」
文句を言いつつもクロードは次々やってくるアースドラゴンを狩り続けた。
周囲のアースドラゴンを軒並み排除して目的の薬草は問題なく回収できたが帰ったのは日が暮れてからとなった。




