四百五十七話
「邪神ロキは今から数千年前にも主神オーディン様をはじめとする神々に最終戦争ラグナロクをしかけました。その当時も人間界には多くの魔物と魔人。邪神ロキの眷属達が暴れまわり人間界は未曾有の危機に瀕したのです」
「神話に語られる神々の戦争ラグナロクが実在したとは・・・」
「当時のオーディン様は死した英雄エインヘリャルと我々ヴァルキリーを人間界に送り込み当時の人々と協力することでなんとか邪神ロキを討伐することに成功したのです」
「ならばどうして今になって邪神ロキは現れたのですか」
「邪神と言えどロキは神です。復活するのに時間はかかりますが完全に消滅することはないのです」
「倒されても復活するとは迷惑な話ですな」
「女神アリア様は邪神ロキの復活を察知して一つの可能性にかけました。優秀な資質を持った者を転生させ邪神ロキを討伐させ未然にラグナロクが引き起こされるの防ごうと考えられました」
「ブリュンヒルト殿。転生とはなんでしょうか」
「転生とは前世の記憶を持ったまま魂を現世に送り出すことです。今回選ばれたのはクロードということになります」
「なるほど。だからクロード卿はあれ程のステータスを持っていたのですね」
「私はクロードをサポートする為に女神アリア様の命で人間界にやってきました。クロードには邪神ロキの討伐を要請していましたが断られ続けていたのですけどね」
今まで黙っていたクロードは体調が少しずつ戻り発言する。
「それはロキの強さをわかっているからですよ。以前使っていた装備を全て装備できるわけではないですし敵対してわかりました。今のままでは戦っても間違いなく負けるでしょう」
ポセイドスはじめ部屋に集まっていた者達は希望を見せられただけにクロードの発言で一気に現実に戻される。
「それでは我々はどうしたら」
「そうですね。軍備を増強しつつ他国と連合し魔物の被害を防ぐのがよいでしょう」
「幸いドラゴニア王国とは同盟を結べましたし周辺国との関係も良好です。しかし、全ての国が賛同するとは思えませんな」
「それは危機感が足りていないからでしょうね。国によっては魔物の対処に失敗して滅んだ国もあるようですが周辺国も自国に流れてくる魔物の対処で精一杯な国もあります。そういった国に手を差し伸べ協力関係を築くのがよいでしょう」
「国外への遠征か。兵力がいくらあっても足らぬの」
邪神ロキは復活してしまった。
今は人類の力を結集すべき時であるが課題が山積しているのであった。
