四百二十七話
クロードとエリーゼは教会の子供達にせがまれ遊び相手を務めることになった。
男の子達はお手製の木剣を持ってチャンバラをはじめる。
教会の子供たちは教会を出た後、定職につけず冒険者になる者も多いので遊びではあるがどの子も真剣だ。
クロードは支配階級であるため、この問題をどうにかしたいが人々に根付いている信頼度の問題は頭の痛い問題だ。
冒険者の仕事は勿論街の中の仕事もあるが独り立ちしたという過信から街の外の仕事を希望する者が多く残念ながら命を落とす者も少なくない。
今は少しでも彼等が生存出来るようにクロードも真剣に子供達に相対することにする。
中には木剣に振り回されている子や力任せに振るっている子もおりこれは中々鍛えがいがありそうだ。
「基本は中段の構えです。この姿勢から剣を振りかぶり遠心力を利用して振り下ろします」
「兄ちゃん。こうか」
「そうそう。うまいですよ。無意識にこの動きが出来るようになれば強くなれますよ」
「うん。おいら頑張る」
男の子達は素直にクロードの指導を受けてくれる。
今までは教えられる人がおらず我流で強くなるしかなかったが今はクロードがいる。
この機会に徹底して学ぶ姿勢のようだ。
クロードも頑張っている姿に嬉しくなり指導に熱が入っていく。
最後にクロードとの模擬戦を順番に行い男の子達はヘロヘロになりながらも笑っていたのである。
エリーゼは女の子たちに頼まれて初級魔法を教えていた。
女の子達は教会関係者の暇を見つけては教えを受けていたようで基礎はしっかりと出来ていた。
エリーゼは少し難しいかもしれないが無詠唱で魔法を使えるようになれば将来役に立つと思い指導をしていく。
無詠唱で魔法を使うコツはイメージだ。
今までイメージを呪文を唱えることで補っていたが魔法を何度も使うことでイメージを固めるのがコツだと何度も魔法を使わせる。
今まで真面目に練習に取り掛かってきただけあり何人かは無詠唱でも魔法を使うことが出来るようになっていた。
男の子も女の子もヘロヘロになるまで修練に励みその甲斐あって短期間でそれなりに成長したのである。
クロードとエリーゼは夕方まで根気強く子供達に付き合い屋敷へと引き上げるのだった。
屋敷に帰ったクロードとエリーゼには試練が待っていた。
昼前に暴漢に襲われたことは報告としてあがっておりファイネルとリーシアから怒られたのだった。
話し合いの結果、二人だけで街に降りるのは禁止となり必ず護衛を伴うことが条件として付けられたのである。
