四百二十五話
クロードとエリーゼはゆっくり休める場所ということで教会の前に設置されたベンチまでやってきていた。
そこに教会の中からシスター服を着た少女がやってくる。
「あら。クロード。クロードじゃない」
「アンジェリカじゃないですか。お久しぶりですね」
彼女は教会の預かる孤児の一人で回復魔法の修行のために教会を訪れているときに出会い仲良くなった女の子だ。
「クロード。紹介してくれないかしら」
「彼女はアンジェリカ。教会の保護した孤児だけど優しくて明るい子だよ」
「アンジェリカです。今は教会でシスター見習いをしています」
「エリーゼよ」
二人はしばらく睨みあっていたが握手を交わす。
「これからよろしくね」
「こちらこそ」
クロードにアンジェリカという少女を紹介されたが直感でこの子がクロードを好いているの感じ取った。
婚約はしたが出会ったのはこの子の方が先であることを考えると油断できない。
「クロード。少し彼女と話をしてくるから待っていてね」
「私もエリーゼさんと話してみたいと思っていたところです」
「わかりました。ここで待っていますね」
クロードから距離を取り話しはじめる。
「率直に聞くわね。貴方、クロードのことが好きでしょ」
「ということはエリーゼさんも・・・」
「私はクロードの婚約者よ」
「婚約者・・・」
アンジェリカは私の発言にショックを受けているようだ。
「クロードは優しくて強いもの。貴方がクロードを好くのは自然な流れね」
「クロードは貴族だし親がどこの誰かもわからない私では釣り合わないのはわかっているんです」
「身分差があるのは事実ね。でもそれだけで諦めるのかしら」
エリーゼはあえて挑発してみる。
「諦めたくありません。でも・・・」
「でもはなしよ。貴方が本気かどうか確かめさせてもらうわ」
「確かめるってどうやって」
「貴方、特技のようなものはないのかしら」
「回復魔法が少し使えるぐらいで他は」
「十分よ。その回復魔法を鍛えて王都に届くぐらい有名になりなさい」
「有名にですか」
「聖女と呼ばれるぐらい名声を高められたら身分差なんて関係なくなるわよ」
「どうしてそこまで応援してくれるんですか」
「一目見たときに貴方のことを気に入ったからかしら。私もクロードを独り占めしたい気持ちもあるけれどクロードを支える人は少しでも多い方がいいわ。貴方ならそれが出来ると思ったからよ」
「クロードを支える。本当に私にそんなことが出来るのでしょうか」
「自信を持ちなさい。出来る出来ないではなくやるのよ」
この日からアンジェリカは変わった。
クロードを支えられる人物になろうと薬学をはじめ人体の構造などを勉強し回復魔法の効果向上に努めはじめたのである。




