四百十九話
クロードとエリーゼは服を着て改めて向かい合っていた。
「僕はエリーゼのことが好きなんだ」
「私もクロードのことが好きよ」
エリーゼの方を見れば泣いている。
クロードは好きだと伝えたのに泣かれてどうしたらいいのかわからなくて焦ってしまう。
「ごめんなさい・・・。嬉しすぎて」
人は嬉しすぎても泣くことがあるとは聞いたことがあるが自分が遭遇するとは思っていなかった。
クロードはエリーゼが泣き止むのを待つ。
「ごめんなさい。落ち着いたわ」
「それでエリーゼはいつから僕のことを好きだったの」
「はじめて会った時からよ。一目惚れだったの」
「はじめて会った時って首飾りを買ったあの時ですか」
「えぇ。今も身に着けているしこれは私の宝物よ」
そういってエリーゼは首飾りを見せてくる。
それは丁寧に扱われているのがわかる状態だった。
「思えばこの首飾りがなければ声をかけることもなかったでしょうね」
「そう思うとますます特別な首飾りになったわね」
それからクロードとエリーゼは今まであったことを語り合うのだった。
アイナはミーシェに後を任せてクロードとエリーゼの仲が進展したのを報告する為に王宮へとやってきていた。
使用人用の出入り口から入り真っ直ぐ国王であるポセイドスの私室を訪ねる。
普通の使用人では謁見するのは大変だが身辺警護まで担当する少数の使用人の一人であるアイナは火急の知らせを知らせるために特別な許可をもらっている一人だった。
「国王陛下。失礼いたします」
国王陛下であるポセイドスは仕事終わりにお酒を飲んでいたようでワイングラスを片手に持ったまま迎え入れてくれる。
「アイナか。エリーゼに何かあったのか」
「エリーゼ様とクロード卿の仲が進展しましたのでその報告にきました」
「なんと。それは本当か。それは喜ばしい」
「今頃は二人で色々話をしていることかと」
「こうしてはおれん。早速、ファイネルに手紙を書かなければ」
そう言ってワイングラスをテーブルに置き机に向き合うと手紙を書き始めてしまった。
「陛下。私は戻りますので失礼いたします」
「これからもエリーゼのことを頼むぞ」
「この命に代えましてもお守りする所存です。私の出番はないかもしれませんが」
「ははは。ある意味最強の護衛がついておるからな」
国王であるポセイドスの私室を出た後はすぐに王宮を出る。
後をミーシェに任せているがまだまだ未熟なのは間違いない。
問題が起きるとは思っていないがエリーゼが戻ってきたときにアイナがいなければ心配するだろう。
主に心配をかけさせるなど仕える者として未熟だ。
無事に二人の仲が進展したお祝いは何にしようかと考えながら寮に戻るのだった。




