四十一話
ファイネルは騎士団と共に息子達を送り出した後領内各所に通達を出して歩兵部隊の編制をしていた。
騎士団という手駒は強力ではあるもののリムテック領に散らばったであろうオークを全て討伐するには数が足りていないのもまた事実であったからだ。
今は何よりも速度が優先されるが数が足りなければ目的を達成することはできない。
一定数の歩兵が集まったところで直接指揮を執って出陣し間に合わない部隊は後詰として本隊を追ってくるように指示を出す。
ファイネルは被害にあっているであろう王国民を一人でも多く救出するためプロミネンス家の総力を挙げてこの事態に当たっていた。
王都にある騎士団でも慌ただしく出陣の準備が進められていた。
リムテック伯爵から鷹匠の鷹を使った緊急の文が入ったためである。
国王であるポセイドスは第一、第二、第三騎士団の即時派遣を決定。
王国が管理するダンジョンでの氾濫の発生ということでここで兵力の出し渋りはできなかった背景もある。
王都からは距離があるため急いでも到着は周辺諸侯の救援より遅くなるが騎士団の仕事には討伐後の復興支援なども含まれていた。
ファールハイトはバンネル団長に前線の援護を指示して討伐本部を訪れていた。
「ファールハイト・フォン・プロミネンスです」
「ファールハイト殿。よく来てくれた。ダンテリオ・フォン・リムテックだ」
「リムテック伯爵。早速で申し訳ないが状況の説明を」
「想定していたよりオークの数が多く各所に配していた部隊が寸断されている状況だ」
討伐本部の中央には地図と各部隊を示すであろう駒が配置されていた。
「防衛ラインを下げて立て直しを図りましょう。周辺の諸侯の援軍も向かってきているはずですのでここに集めるのがよいでしょう」
「ここに集めるのはよいが他の地域はどうしたら」
「援軍に向かっているであろう諸侯のルートを予想して伝令兵を走らせ連携をはかります」
「すぐに伝令を走らせましょう。ですがプロミネンス領側のこの辺りは放置されてしまうことになりますが」
「そちらには弟の別動隊が動いています。弟なら何とかするでしょう」
「クラウス殿は王都のはずということはまだ子供のクロード殿が動いているということでしょうか」
「クロードは単独での戦力に優れていますし戦略、戦術は私に迫りますので安心してください」
その頃クロードは散り散りで戦う兵士を救出し回復魔法で治療した後集合地点を指示しまとまった戦力として再編して本部からの指示に従うように働きかけていた。