三百五十七話
忠盛さんは御所の門番に何事かいって門を開けてもらい入っていく。
クロードとエリーゼもその後についていく。
御所内の警備は厳重で目的の部屋に到着するのにはかなり時間がかかった。
「ここで頭を下げて声をかけられるまで頭をあげないように」
「わかりました」
しばらく待っていると誰かの足音が聞こえ座った音がする。
「面をあげぃ。忠盛よ。火急の要件とのことだが何事じゃ」
「上皇様。八岐大蛇に関してでございます」
「もうじき生贄を奉げる時期になるのじゃったな。生贄は見つかったのか」
「それなのですが八岐大蛇を討伐できると言っている者がおるのです」
「憎っくき八岐大蛇を討伐できるならそれに越したことはないがその者はどこなのじゃ。そこの童というわけではなかろうな」
「そのまさかでございます」
「国の命運を童に託せだと。冗談ではない」
「クロード。ステータスを見せてあげたら」
ここでエリーゼからの助け船が入る。
ステータスを見せるということは信頼関係がなければ難しいが島国の主に見られたからと言って不利になるようなことはないだろう。
「僕は構いませんがどういたしますか」
「そこまで言うなら良かろう。ちこうよれ」
クロードは上皇に近づく。
「ステータスオープン」
上皇はステータスを覗きこみ固まってしまう。
「上皇様。どうなさいましたか」
「はっ・・・。なんじゃこのステータスは化け物ではないか」
「ご納得いただけましたか」
「主になら任せてみてもよいかもしれぬ」
「許可も得られたところでお願いがございます」
「なんじゃ」
「竜殺しという名の酒を8樽用意していただけないでしょうか」
「竜殺しじゃと。用意できなくはないがそんなもの何に使うのじゃ」
「八岐大蛇は竜の例外に漏れず酒が大好物なのです。そこで竜すら殺せると言われた竜殺しを使って眠らせてその間に首をはねようかと考えております」
「そんなことは考えたこともなかったな」
「良い案かと存じます。早速手配をさせましょう」
話し合いは無事に終わりクロードは気は進まないがさらなる手配をしていた。
女ものの鬘を手に入れて化粧を施して女に見えるように変装をする。
それを手伝っていたエリーゼは満面の笑みを浮かべている。
「クロードったら別嬪さんね」
「なんだか屈辱的です」
その様子を眺めていた忠盛もついつい言ってしまう。
「これだけの美人に化けるとは驚きです」
周りの評判は上々ではあるがクロードは決めたのである。
二度と変装などしないぞと。




