三十五話
朝食を終えた後服を着替え確認の為に母様にチェックをしてもらっていた。
「クロードよく似合っているわ」
「母様。ありがとうございます」
そこに扉をノックして父様が入ってくる。
父様も普段よりも貴族然とした衣服を着ている。
「どうやら迎えの馬車がきたようだ。クロード行こうか」
「はい」
ネツァルさんは宿の玄関で待機しており綺麗な装飾のされたローブを羽織っていた。
「ネツァル殿お待たせしました。行きましょう」
宿に横づけされた馬車に乗り込み王宮へ向けて出発した。
「ほほ。いかに神童といっても緊張しているようだの」
「何か粗相をしないか心配で」
「クロードはマナーもしっかり出来ているし普段通りにしていれば大丈夫だよ」
馬車は高級住宅街を抜け貴族区画に入りそのまま王城に到着した。
クロード達は執事服を着た初老の男性に迎え入れられ応接室に案内された。
出された紅茶を飲みながら待っていると二人の男性が部屋に入ってきた。
「リッチマン宰相。陛下ご無沙汰しております」
「呼び出してすまなかったな。そちらの子が三男のクロードだな。そちらの御仁はどなただろうか」
「賢者のネツァルと申します。現在はクロード殿の家庭教師をしております」
「ネツァル殿の噂は聞いております」
「陛下。此度の呼び出しはゴブリンロードの件で間違っておりませぬか」
「そなたが王宮から距離を取り様々な派閥の橋渡し役を買ってでてくれておるのはわかっておるが単独でボスと呼ばれる魔物を討伐できるものを放置しておくわけにはいかなくてな」
「クロード殿。我々にステータスを見せてはくれないだろうか」
「わかりました。ステータスオープン」
リッチマンと国王陛下がステータスを確認する。
「確かにこれだけのステータスがあれば単独でも討伐は可能かもしれぬな」
「討伐が可能であると確認が取れましたのでこれからの流れをお話しします。この後謁見の間にてクロード殿には爵位を授けることになります」
「年齢のことを考え他からの反発を収めるために騎士爵を授けるつもりだが何か仕事をさせようとは考えておらん。時にファイネルよ。クロードの教育はどう考えておる」
「他の子と同じく１０歳になれば王都の学園に通わせようと考えております」
「今から通わせることもできますが周りからの軋轢を考えればやめておくべきかと」
「賢者殿が家庭教師としてついていることだしな。それでは我々は一度失礼する」
宰相のリッチマンと国王陛下は部屋を出て行った。
