三百三十五話
エリーゼからプレゼントがあると言われて受け取ったのはゲルマン王国からみて西方の国々の料理をまとめたレシピ本だった。
「クロードは料理が好きそうだったから」
料理が好きかと言われれば疑問符が付くが料理のレパートリーが増えるのはいいことだ。
「ありがとうございます」
「うまく出来たらご馳走してね」
「わかりました」
クロードは早速寮に戻りレシピ本に目を通す。
すぐにチャレンジできそうなものはないかと読み進めていくとパスタやピザなど前世で食べなれたレシピもあった。
レシピ本にはパスタマシンの記述もあり自作してみることにした。
まずは生地を寝かせる必要があるため卵と塩に油を混ぜ合わせていく。
よく混ぜたら小麦粉を加えさらに練っていく。
程よい硬さになったところで生地を寝かせ続いてパスタマシンの試作にとりかかる。
今回作るパスタマシンは押し出し式である。
錬金術で鉄の形を整えミスリルでコーティングする。
太さがどれぐらいがちょうどよいのかわからないため麺の太さを変えられるように押し出し口を付け替えることで太さを変えられるようにしてある。
パスタマシンが出来上がったところで寝かせておいた生地を投入して少量ずつパスタを作ってみる。
少量ずつ作ったパスタを早速茹でてみる。
茹で上がったパスタを試食してみて一番しっくりときた太さで残った生地をパスタに加工する。
完成した一部のパスタは乾燥させたらどうなるのかの実験で日陰に干して様子をみることにした。
続いてパスタといえばミートソースである。
フライパンに油をひきニンニクを炒めて香が出てきたら微塵切りにした玉ねぎを加える。
オークの肉を細かく切って加え色が変わってきたら細かく切ったトマトを加える。
秘伝のタレを加えて塩、胡椒で味を調え水分が飛んできたら完成だ。
パスタをササっと茹でて皿に盛りミートソースをかければ懐かしのミートソーススパゲティの出来上がりだ。
まだまだ改良の余地はあるだろうが久しぶりに食べるパスタ料理は大変満足のいく結果だった。
乾燥させたパスタはダメだったがその日から試行錯誤を繰り返し満足のいく結果を得られたところでパスタの押し出し機を量産して傘下の携行食を作っている工場で量産をさせた。
最初はクロードが公開したレシピしかなかったが料理人達は試行錯誤を繰り返し爆発的にレシピが増えゲルマン王国にパスタ文化が広がってゆくこととなる。
それに比例して工場で作った麺を購入する人々が増えクロードの元には利益が転がり込んでくることとなる。




