三百二十二話
「お呼びとのことですが何かありましたか」
「クロード卿が面白い物を持ってきてな」
「面白いものですか」
「グリフォンを呼び出せる角笛だ。これを利用して航空戦力を確保できないかとのことでな」
「航空戦力をですか」
「そこで30人ほど軍から人員を選抜して欲しい」
「わかりました。選りすぐりの人員を揃えます。クロード卿には申し訳ないですが訓練に立ち会ってもらえると助かります」
「わかりました。詳細が決まりましたらお声がけください」
話し合いも無事に終わり時間の空きが出来たクロードは久しぶりに経営している喫茶店兼バーに顔を出すことにした。
「いらっしゃいませ。ってクロード様じゃないですか」
「最近来れていませんでしたが経営の方は順調のようですね」
「リピーターで来られるお客様も多いですし以前と比べたら雲泥の差ですね」
「それはよかった。コーヒーをお願いしますね」
クロードは空いている席に腰をおろして注文をする。
「すぐにお持ちします」
コーヒーを待つ間店内を見まわせばウェイトレスの娘とブリュンヒルトが忙しそうにフロアをまわっている。
マスターも休むことなく次々と注文をこなしている。
少しオーバーワーク気味ではないかと心配してしまうが他の人を採用していないところを見るとなんとかなっているのだろう。
オーナーではあるが現場をあまり知らない自分が口を挟むのも失礼かと考えて見守ることにした。
コーヒーを堪能した後、お店を出て本屋を目指す。
目的はこの世界の楽譜を手に入れることだ。
せっかくギターが手に入ったので趣味として本格的にチャレンジしてみようと思ったからだ。
楽譜は置いてあっても数が少なく何件もの本屋を梯子して持っていない楽譜を確保する。
寮に戻ってきたクロードは早速ギターを取り出して曲を弾いてみる。
楽譜は幸いなことに前世と同じ方式であったために読み取るのに苦労はしなかった。
ギターを弾くのに夢中となっていたようで気付けばもう夕方だ。
ギターを片付けて食事の準備をする。
野菜とオークの肉を炒めて肉入り野菜炒めを作りパンを取り出してフルーツをいくつか搾り取りミックスジュースを作ってそこに炭酸を加えれば夕食の出来上がりだ。
夕食の後は読書をしようとコーヒーを数杯分用意してまだ読んでいない本を取り出し読んでいく。
コーヒーも全て飲み程よい眠気が襲ってきたところで今日は寝ることにして本を片付けて横になる。
クロードはすぐに眠りに落ちていった。




