二百六十一話
どうして自分はここにいるのだろうか。
場違い感が半端ない。
この宴に列席しているのはフォーネスト王宮第一騎士団長にムッテハイド王宮第二騎士団長。
イリウム王宮第三騎士団長にミッシア辺境伯をはじめゲルマン王国の軍派閥に所属する貴族が多数。
主催者はルーシェン軍務大臣である。
ことのはじまりはルーシェン軍務大臣からパーティーへの招待状が届いたことだ。
招待状にはクロードを軍派閥関係者に紹介したいと書かれていた。
クロードは辺境伯として顔通しをするべきだと思いこのパーティーに参加することを決めたわけだがパーティーへの参加など王宮で開かれたものを除けばこれがはじめてである。
開催場所はルーシェン軍務大臣の王都にある屋敷だった。
緊張しつつも屋敷の門を潜りパーティー会場に足を踏み入れればクロードを値踏みする視線ばかり。
こういう時にはどういう顔をしていればいいのかさっぱりだ。
困って立っていると主催者であるルーシェン軍務大臣が声をかけてくれる。
「クロード卿。こられたか。歓迎するぞ」
「ルーシェン軍務大臣。本日はお招きいただきありがとうございます」
「我らは国難に対しては一致団結する立場にある。クロード卿も胸を張られよ」
「パーティーへ参加するのははじめてなのだろう。それで緊張せずにいよというのは少々酷ではないかな」
「タイラント卿。ご無沙汰しております」
「クロード君に爵位を並ばれるとは思っていなかったな。しかしこれからは同じ辺境伯として頑張っていこうじゃないか」
「若輩の身ではありますが最善を尽くします」
「そう硬くならないでくれ。酒こそ出されていないがこの場は無礼講だ。気軽にしていればいい」
「皆にクロード卿を紹介しなければな。皆の者、クロード卿は10歳でありながら多くの魔物のボスを討伐しシルフィード皇国の侵攻をほぼ単独で退けた実績を持っている。経験の浅さはあるが我らが補助すれば問題ないと思っている。協力してゲルマン王国を盛り立てていこうではないか」
「ご紹介にあったクロード・フォン・プロミネンス辺境伯です。若輩の身ですが皆様の手腕から大いに学び実践していけたらと考えています。よろしくお願いします」
会場は拍手で満ちる。
クロードが軍派閥の貴族達に認められた瞬間だった。
ここに集っているのは軍の実務に関わるものばかりということで実務的な話をされクロードもそれに対して回答していく。
装備品や消耗品を融通して欲しいといったものから現在の防衛計画をどう思うかなど有益な話が多く有意義な時間を過ごすのだった。




