二百五十五話
クロードは高等部の生徒達と共に学園へと戻ってきた。
無事に全員を救出できてよかったと思っていたのだが職員室に呼び出しを受けていた。
「クロード君。君が強いのはわかっているけれど無計画に飛び出していくのはダメよ」
「一刻を争う事態だったんですよ」
「言い訳は聞かないわ。フローレンス先生の指導で貴族の当主らしくなってきたと思ったらこれだもの。貴方は一番冷静でなければならないの。当主が真っ先に我を忘れて動いたら取り残された人達はどうしたらいいの」
「うっ・・・。レイシャ先生のおっしゃる通りです。すみませんでした」
「よろしい。とはいえクロード君が動かなければ足止めをした8人は命を落としていたのも事実なのよね」
「かなりギリギリのタイミングでした」
「十分に反省しているようだしお説教はこれぐらいにしておきましょうか。駆けつけてくれてありがとう」
クロードの立場を考えてお説教はしたものの最後の言葉を聞けば感謝されているのだとわかる。
国王であるポセイドスと宰相のリッチマンのもとにも学園の高等部の生徒がフィールドボスの白虎に襲われたという話はあがっていた。
「クロード卿が間に合ってくれて助かりました。将来有望な若者達を失うところでした」
「クロードのあげた功績は大きい。通信の魔道具の件もあるし適当な領地を分配したいところだな」
「それでしたら隣接していますし鉱山都市グローリアを任せてはどうでしょうか」
「グローリアをか。鉱物を産出する貴重な都市ではあるがクロードに任せれば採掘量が増えるかもしれんな」
鉱山都市グローリアをクロードに任せれば間違いなく国に入ってくる収益は減るが採掘量が増えるのであれば国にとってはプラスとなる。
「問題は間違いなく騒ぐ貴族がいることですね」
「今回は謁見は行わず書面にて通知することにしよう」
「わかりました。手配しておきます」
その後も二人は国の抱える問題を話し合って詳細を詰めていくのであった。
クロードは通信の魔道具を作るため自分の寮に籠っていた。
ドアベルが鳴らされて玄関を開けると正装した男性が立っていた。
「クロード卿。勅使であります」
勅使とは国王の代理である。
クロードは慌てて正式な礼をする。
それを確認した男性は伝達事項を伝えはじめる。
「通信の魔道具を作成し国に大きな貢献をしたこと。窮地に陥った学生を救出したこと。これらの貢献を称え領地を与えるものとする」
「謹んでお受けいたします」
男性は公文書をクロードに引き渡し帰っていった。




