二十五話
クロード達はダンジョンの三層目に挑んでいた。
入ってすぐにゴブリンの集団と遭遇する。
奥にゴブリンメイジが確認できたが無理に突っ込むことをせず落ち着いてゴブリンの前衛を相手にするがゴブリンメイジは同士討ちを恐れていないのかファイヤアローを放ってくる。
避ければ姉様達に当たる為ファイヤアローを放って相殺させようと魔法を放つ。
クロードの放ったファイヤアローは見事にゴブリンメイジの放ったファイヤアローに命中してそのままゴブリンメイジに当たり消滅させる。
やりすぎたとは思ったものの今は目の前にいるゴブリンである。
姉様の援護を受けつつ隙をついてゴブリンを片づけていく。
戦闘は程なくして終了してドロップ品を回収する。
「クロードってば無詠唱であの威力。魔法の腕も一流なのね」
「相殺させるだけのつもりだったんですけど」
「クロードはかなり余裕があるみたいだね。前衛を務めつつ魔法でアーチャーとメイジを狙うのは可能かな」
「大丈夫だと思います」
「はっはっ。俺は剣を振るうぐらいしかできないからな。遠距離攻撃はいつも体を張って防ぐしかなかったんだがクロードがいればより安心して挑めるな」
「おしゃべりはここまでだね。次の集団のお出ましだ」
ファールハイト兄様の声で気を引き締めなおす。
今度の集団はゴブリンアーチャーが二匹混じっており矢を放たれる前に多重詠唱でファイヤアローを素早く放つ。
接近してきていた剣持ちのゴブリンは姉様が魔法で牽制しつつ怯んだところにクラウス兄様が突っ込んでいく。
クラウス兄様が孤立しないようにフォローに走る。
クラウス兄様の後ろから槍を突こうとしていたゴブリンとの間に割り込み剣で槍を叩き斬る。
槍を失ったゴブリンに容赦なく姉様の魔法が当り消滅させる。
クラウス兄様はその間に武技を使って三匹程のゴブリンを倒していた。
戦闘はあっという間に終わったがファールハイト兄様の雷が落ちた。
「クラウス。クロードの活躍に感化されるのはいいが突っ込むな。フォローする側のことを考えろ」
「悪い悪い。でも余裕だっただろ」
下手をすれば包囲される悪手だがフォローが入るのを確信していた一手だ。
仮に後ろから槍を突こうとしていたゴブリンは自分が間に入らなくても姉様のフォローで十分間に合っていたタイミングだった。
そこには確かに積み重ねてきた信頼があるのは間違いない。
「アリシアとアイリスはいつも通り見事だった。クロードの判断は間違ってない。クラウスが暴走したときは頼むぞ」
「はい。任されました」
 




