二百二十三話
本日はエリーゼがクロードの育った場所を見たいとのことで転移魔法でプロミネンス領へと飛んでいた。
屋敷の皆は突然帰ってきたというのに温かく迎えてくれる。
「おかえりなさいませ。クロード様」
「うん。数日お世話になるよ」
「エリーゼ・ド・ゲルマンよ。お世話になるわね」
屋敷の使用人はよく訓練されており王族の登場に慌てることもなくエリーゼを案内する。
案内された居間ではクロードの母であるリーシアが優雅にお茶を飲んでいた。
「母様。ただいま戻りました」
「あらあら。クロード。久しぶりね。帰ってきてくれて嬉しいわ」
「エリーゼ・ド・ゲルマンです」
「王女殿下もようこそ。歓迎するわ。クロードが女の子を連れて帰ってくるなんて。うふふ」
使用人が手際よく紅茶をいれて差し出してくれる。
「僕はちょっと料理長のところにいってきますね」
「わかったわ」
クロードは料理長のもとを訪れていた。
「料理長。お久しぶりです」
「クロード様。おかえりなさいませ」
「今日は新鮮な魚介類が手に入ったのでそれを持ってきましたよ」
「これはわざわざありがとうございます」
クロードはアイテムボックスから魚介類を取り出していく。
「どれも質のよいものですね。料理人として腕がなります」
「夕食を楽しみにしていますね」
「お任せください」
料理長のもとから居間に戻ると父様のファイネルも混ざって談笑していた。
「父様。ただいま戻りました」
「おかえり。クロード。姫様からクロードの活躍を聞いていたところだ」
「お恥ずかしい限りです」
「噂では色々聞いていたが思った以上の活躍ぶりだな」
今思い返せば転移門事件や王都襲撃事件にシルフィード皇国の魔物の氾濫。
本当に色々なことがあった。
「クロードが優秀なことは知っているがそれ故に国から頼られているのもわかるが親としてはやはり心配してしまう」
「ご心配をおかけしてすみません」
「いいじゃない。こうして元気な姿を見せてくれるだけでも私は嬉しいわ」
「懐かしい声が聞こえると思ったらクロードか。久しいな」
そこに魔法と錬金術の師であるネツァルさんが現れる。
ネツァルさんは僕の修行をつけた後街に出来た錬金術工房の技術顧問をしつつ錬金術の研究を続けていた。
父様が珍しい品も取り寄せてくれるので研究がはかどると居座っていたのである。
「お久しぶりです」
「クロードは学園に通っているのだろう。研究のほうはどうだ」
「色々忙しくて最近は手を出せていません」
「そうかそうか。後で儂の部屋にきてくれ。色々面白い成果をみせよう」
「それは楽しみです」
ネツァルさんも含めて楽しい一時を過ごすのであった
