二百二十二話
しばらく３層で狩りを続けたクロード達はお世話になっている城の人達が心配するということで帰ることにした。
「皆つかまりましたね」
クロードは全員がつかまったことを確認して転移魔法でダンジョンの外へと飛ぶ。
「本当に外だ。転移魔法とは便利なものですね」
「疲れていても一瞬で外に出れるなら活動の幅が広がりそうですね」
クロードはネツァルさんの指導であっさりと獲得した転移魔法であるが使い手は驚くほど少ない。
アリシア姉様やアイリス姉様も習得しようとネツァルさんに師事したのだけど短距離のテレポートを覚えるのがやっとだったのである。
「覚えるのには適性も必要みたいなんですよね」
「便利であっても扱いは難しいということですか。うまい話はないのですね」
クロード達は待機していた馬車に乗り込み城への帰路についた。
城では低層を軽くまわって帰ってくると思っていたらしくかなり心配をかけてしまったようだ。
「中々帰ってこないので何かあったのか心配して捜索隊を出すところでした」
「ダンジョンにいくのだから数日帰ってこないのは当たり前でしょ」
エリーゼは何処吹く風だ。
「隊長。姫様は我々より強くて我々が足を引っ張るざまでした」
「護衛として恥ずかしいです。貴重な体験をさせていただきましたしより訓練に励もうと思います」
「貴方達も頑張っていたわよ」
「何はともあれこうして無事に帰ってきたことですしゆっくりしたいですね」
「賛成ね。私は部屋に戻るわね」
まだ城の責任者は言いたいことがありそうだが疲れているのもわかっていたため引き下がってくれた。
時間の出来たクロードは城の料理人に頼んで燻製の作り方を学んでいた。
城でも保存食として燻製を作ることがあるとのことでクロードは嬉々としてその技術を学んでいく。
「チップを使わなくても作れますが匂いが移って味に深みやコクがうまれます」
「なるほど。使うチップによって色々違いがでるんですね」
「チップをかけ合わせたりハーブ類で違いを出したり燻製の世界は奥深いですよ」
「参考になりました」
城の設備を自由に使っていいとのことでクロードは様々な燻製を作りあげるのだった。
「むぅ・・・。クロードがいないと暇なのじゃ。でも邪魔はしたくないし」
クロードに構って欲しいが邪魔はしたくないと複雑な乙女心で悩むエリーゼであった。
仕方がないので長期休暇の際に出された学園の課題に取り掛かる。
クロードは出されたその日に全て終わらせるという暴挙に出ていたが普通はコツコツとやるものである。
