二百二十話
エリーゼはまだ余裕があるのだが護衛の兵士二人が体力的につらそうなので安全地帯へと戻ってきていた。
「我らが足を引っ張って申し訳ありません」
「いいのよ。私も貴重な経験をさせてもらってるから」
エリーゼはクロードがマンツーマンで教えてきたため仲間と共闘するという技術が不足していた。
それを護衛の兵士二人と戦うことで学んでいたのである。
「魚介類ばかりでは飽きますよね。今回は肉にしますね」
クロードはテキパキと食事の準備をすすめアースドラゴンの肉を焼きはじめる。
秘伝のタレを塗って焼き上げられたステーキは散々動き回ってお腹の減った3人に暴力的な食欲をそそらせる。
エリーゼと護衛の兵士二人はマナーを守って肉に食らいつく。
こんなところでもマナーを守るのは教育がしっかりとしている証拠である。
「肉はまだまだありますからたっぷり食べてくださいね」
クロードも自分の分を食べつつも甲斐甲斐しく肉を焼き続けたのだった。
クロードは食事の終わった3人に疲労回復効果のある回復薬を渡して眠るように伝える。
最初は遠慮していた護衛の兵士二人だったがしぶしぶ眠りについてくれた。
エリーゼは慣れたものでとっくに夢の中だ。
クロードは暇だったので魚を捌き塩をもみ込んで水洗いしハーブ類で味を調え生活魔法を応用して燻製の作成を試みる。
失敗するのも織り込み済みなので気楽に取り込んでいるといつの間にか起きた3人に何をしているのか聞かれる。
「燻製にチャレンジしてみようと思いまして」
「手間がかかるものだと聞いていましたが大丈夫なんですか」
「失敗は発明の母ともいいますし何事もチャレンジですよ。出来上がったのがありますから早速食べてみましょう」
恐る恐る食べてみる。
「う~ん・・・。微妙ね」
「微妙ですね」
「これは味付けに問題があるのか燻し方に問題があったのか難しいですね」
食料を無駄にするわけにもいかず手をつけた分は食べきるのだった。
「休憩は十分とれましたね。もう一度3層にチャレンジしましょう」
順調に狩りすすめていたのだが途中刃のような鱗を持ったソードフィッシュが大軍で流れ込んでくる。
流石に危険だと判断してクロードが対処に乗り出す。
使用する魔法は開発したオリジナル魔法ライトニングレインだ。
ライトニングレインは雨のように無数の雷を敵に降らしてお互いに干渉して広がる広範囲殲滅用魔法である。
「危なかったですね。何だったんだろう」
「まるで何かから逃げるような動きでしたが」
「わからないことを考えてもしかたないですね。警戒しつつ狩りを続けましょう」
ソードフィッシュが来た場所を避けつつも狩りを続けるのだった。




