二百十七話
追いついてきた衛兵達はこの状況に困惑していた。
危ないと思って急いで向かってきたらいきなりガラの悪い男達が痙攣しはじめたのである。
「この状況はいったい」
「ライトニングボルトという対人用の魔法です」
「クロード卿の魔法でしたか。王女殿下が護衛はいらないと言っていた意味はこうだったのか」
「後の対応は任せてもいいですか」
「お任せください」
衛兵達は武器を取り上げ手際よくガラの悪い男達を縛り上げていく。
そんな中クロードとエリーゼは何事もなかったかのように城へと帰っていった。
衛兵達は監視をしつつ応援を呼びに行った仲間を待ってガラの悪い男達を連行していく。
ガラの悪い男達は王族を襲った罪でよくて鉱山送り悪ければ死罪だが判断は司法に任せることとなる。
衛兵詰め所の責任者は王族が襲われたということで急遽街全体の治安維持の名目で一斉取り締まりを決意して実行に移す。
シスの街は一時的にせよ治安が良くなり住民達は感謝するのだった。
クロードとエリーゼは襲われたことにより城を守る責任者からお説教をもらうこととなる。
「今回は何もありませんでしたが護衛は変な輩を避ける意味もあるのです。次からは同行いたしますからね」
「すみませんでした」
クロードは素直に謝ったのだがエリーゼは不満であった。
「何事もなかったからいいじゃない」
「姫様。お立場をお考え下さい」
「私も強くなったのよ。あの程度の賊。私だけでもなんとかなったわ」
「姫様の成長は嬉しく思いますが何かあれば陛下に顔向けができません」
責任者もエリーゼも譲らず平行線である。
「明日からこの近くにあるダンジョンに潜ろうと思っていたのだけどついてくるのかしら」
「当然でございます」
「ついてくるのはわかったわ。でも邪魔だけはしないでね」
「わかりました」
エリーゼが折れたような形にも見えるがこれはまだ一波乱ありそうだなと思うクロードであった。
翌日。
やはりというべきか同行する人数で揉めることとなる。
「最低限このぐらいの人数は連れて行ってください」
「いくらなんでも多すぎるわ」
「姫様の安全を守るためです」
「私は籠の鳥じゃないわ」
「ダメなものはダメです」
見かねたクロードは提案を行う。
「それではエリーゼと模擬戦をして勝ったほうの言うことを聞くというのではどうでしょうか」
「姫様と模擬戦ですか」
「私は構わないわよ」
「姫様が納得してくださるなら全力で参ります」
エリーゼと城の責任者は中庭で対峙してそれぞれの武器を構えてぶつかり合うのだった。




