二百五話
武闘祭もいよいよ大詰めである。
中等部の試合が先に行われ午後から高等部の試合が行われる。
中等部の試合は順当に前評判のよかった生徒が優勝を果たした。
「クロード。よかったら一緒にお昼をどうかしら」
「うん。いいよ」
クロードはエリーゼと並んで食堂へと向かう。
「いよいよだというのに緊張とかはなさそうね」
「出来ることはしているからね。後は実力を発揮するだけだよ」
クロードはリラックス出来ており十分なパフォーマンスをすることができそうだと安心していた。
試合前ということでクロードは軽めのメニューを選ぶ。
エリーゼと二人で食事を取っているとクラスメイト達が集まってくる。
「クロード君頑張ってね」
「クロード。応援してるぞ」
激励の言葉を聞きつつ昼食の時間はゆっくりと過ぎていった。
クロードは準々決勝の舞台に立っていた。
相手は槍を構えた女生徒だ。
クロードは相も変わらず抜刀術の構えをとっている。
審判の開始と共に抜刀術を繰り出すが流石にここまで勝ち上がってきただけあり初撃に対応してみせる。
クロードは防がれることも計算に入れていたため硬直にとらわれることなく次の動作に入っていた。
女生徒のほうも防いだ喜びに浸ることなく基本的な構えをとり槍を突きだしてくる。
突いて引き戻すという単純な攻撃であるが基礎をきっちり固められたその動作は芸術の域に入っている。
クロードは最低限の動きでかわしていくが攻撃するためには懐に入らなければならない。
剣で槍を受け流し僅かに女生徒の体が流れたところを攻撃する。
女生徒もかわそうと体を捻るが狙い違わずクロードの剣は胴の部分に吸い込まれる。
「そこまで」
「はぁ・・・。いい勝負が出来てたと思ったけどまだまだね」
「ありがとうございました」
「このまま優勝しなさいよ。途中で負けたら許さないから」
「肝に銘じておきます」
続いての準決勝。
クロードの前に立っているのはフォテン先輩だった。
「いつかの借りを返してやるぜ」
「今回も勝たせてもらいます」
「両者。私語は慎んでください。それでははじめ」
審判の開始の合図でクロードは抜刀術を繰り出す。
フォテン先輩はそれを読んでいたらしく防いで見せるがクロードの攻撃はまだ終わっていなかった。
抜刀術で振りぬかれた腕はその反動を利用してフォテン先輩に向かって再び高速で向かっていく。
二連撃を放つ抜刀術燕返しである。
クロードの剣がフォテンの体を捉えて胴の部分に吸い込まれる。
「そこまで」
「え・・・。ちょ。なんだそれ」
「すみません。フォテン先輩」
にっこり微笑みクロードに対して悔しさを隠し切れないフォテン先輩であった。




