二十話
ネツァルは錬金術に使う素材を集めてくると出かけておりクロードは久しぶりの自由な時間を手に入れていた。
今は自分に支援魔法をかけて庭で素振りをしていた。
一台の馬車が門から入ってきて屋敷の玄関に乗り付ける。
興味を惹かれ覗きこんでいると馬車から降りてきたのは王都の学園に通っている兄と姉達だった。
素振りに使っていた武器をアイテムボックスにしまい駆け寄っていく。
「お兄様。お姉様。おかえりなさい」
「クロードただいま。ちょっと見ない間に大きくなったな」
ファールハイト兄さまが頭を撫でてくれる。
「お兄様ずるいですわ。私も撫でたいです」
長女のアリシア姉さまが抱きついてくる。
「クロードが可愛いのはわかってるけど屋敷の中に入ろうか」
屋敷の中に入るように促したのは次兄のクラウス兄さんだ。
そのまま流れで兄さん達について父様の書斎に向かう。
ファールハイト兄様が代表して扉をノックして入室する。
入室を許可する声が聞こえて全員で室内に入室する。
「お父様。無事学園から帰ってまいりました」
「みなの顔を見れて嬉しいぞ。早速みんなの話を聞きたいところだが仕事が溜まっていてね。昼食のときにでも聞かせてもらえるかな」
「わかりました。失礼いたします」
書斎を後にして自然と居間に向かう。
居間では母リーシアがお茶の準備をして待っていた。
「みんなよく帰ってきたわね。こっちにきて話を聞かせて頂戴」
みんなで席を囲み学園での出来事を話す兄様たちの会話に耳を傾ける。
クラウス兄様が武闘会で好成績を収めた話や次女のアイリス姉様に姉様を慕うファンクラブが出来たとか。
「私達の話だけでなくクロードの話も聞きたいわ。今年洗礼を受けたのでしょう。結果はどうだったのかしら」
むやみやたらにステータスを見せないように言われていたので確認の意味をかねて母様を見ると頷いていた。
「ステータスオープン」
隣にいたアイリス姉様が早速覗きこんでくる。
「これはまたすごいステータスを授けられたものね」
代わる代わる姉様と兄様もステータスを確認する。
「これはまたここまで凄いと嫉妬すらおきんな」
「母様。クロードの教育はどうなっているのですか」
「最初は騎士団のカリオンさんに頼んでいたのだけど教えることはもうないってことで今は賢者のネツァル様が魔法と錬金術を教えてくれているわ」
「鬼教官のカリオンに賢者のネツァル様か。よくネツァル様なんて見つかりましたね」
「こればっかりは運が良かったとしか言えないわね」
 




