百八十六話
後をつけてきていた男達が武器を手に脅しをかけてくる。
「お前たちが狩った成果を渡してもらおうか」
「何で渡さなきゃならないのよ」
エリーゼが反論する。
「素直に渡さないなら俺達にも考えがある」
「脅されたって怖くないんだからね」
「男の餓鬼に用はない。見せしめにやってやれ」
「まだ幼いが顔は整ってやがる。たまにはこういう指向もいいだろう」
男達が無造作にクロードに近づいていく。
「はぁ。わかりやすい展開ですね」
クロードは無詠唱でライトニングボルトを放ち制圧する。
痙攣している男達を無造作に山積みにする。
「エリーゼ。帰りましょうか。手を握ってください」
「うん」
エリーゼが手を握ったのを確認して反対の手で男達触れて転移魔法でダンジョンの外に出る。
「エリーゼはダンジョンの管理部隊の人を呼んできてください」
ダンジョンの管理部隊は知らせを聞くと隊長のアントスが自ら飛び出してくる。
「クロード様。こいつらは」
「王女殿下を害そうとした者たちです。厳重な処罰をお願いしますね」
「わかりました」
「それでは僕らは帰りますね」
「お気をつけて」
クロードはエリーゼと共に転移魔法を使って去っていった。
「クロード様に手を出すとはこいつらも運がない」
「いや。そもそも悪事を働く時点でダメだろ」
「違いないな」
取り調べの結果他にも余罪が判明して男達は生涯犯罪奴隷として鉱山送りとなる。
学園の寮に戻ってきたエリーゼはぐったりとしていた。
「姫様。だらしないですよ」
「そうはいっても疲れたのじゃ」
「行く前はクロード卿と二人だって喜んでいたじゃないですか」
「二人きりは嬉しかったのじゃが延々とゴブリンと戦わされたのじゃ」
「目的を考えれば正しいのでは」
「もっと甘い雰囲気を期待してたのじゃ」
「嬉しかったことはないんですか」
「クロードが手料理をふるまってくれたのじゃ。美味しかったのじゃ」
「クロード卿は料理もできるのですね」
「そうなのじゃ。クロードは料理人としてもやっていけそうなのじゃ」
「それで肝心の成果はどうだったんです」
「今確認するのじゃ。ステータス」
エリーゼは自分のステータスを確認してびっくりする。
出かける前と比べて能力値が大きくあがっていた。
「すごい伸びてるのじゃ」
「私にも見せてください」
「わかったのじゃ。ステータスオープン」
アイナがステータスを覗けば驚異的なステータスの伸びが確認できた。
「クロード卿は優秀な騎士団や兵士を所有しているとは聞いていましたがこれは納得ですね」
クロードが練兵を担当すればゲルマン王国は間違いなく精強になるだろうと思わせるのに十分だった。




