十七話
朝食を取り終わったクロードとネツァルは庭で向かい合っていた。
「魔法と言えば花形の攻撃魔法に注目しがちじゃが本日は支援魔法の練習を行う」
クロードも支援魔法で自身の強化はしていたが圧倒的なステータスに物を言わせてしっかりと練習したかと言えばNOだ。
「まず支援魔法と言えば自身や仲間のステータスを高めるもの。未熟な者が使う支援魔法はステータスをほんの少し底上げすることしかできないが極めた者の支援魔法は攻撃魔法にも勝るというのがわしの持論じゃ」
クロードはゲーム時代のことを思い浮かべる。
覚えたての支援魔法の上昇率は僅かだが最高レベルまで上げた支援魔法と比べれば天と地ほどの差があった。
「極めるためにはどうしたらいいのでしょうか」
「基本は変わらんよ。強くイメージするのじゃ。より強く。より早く。より固く。より賢くとな」
「わかりました。やってみます」
自分がより力強く動くさまを思い浮かべ支援魔法を発動する。
「うむうむ。そうじゃ。もっともっとイメージするのじゃ」
支援魔法で強化されたもっと先へ先へとイメージを固め何度も支援魔法で上書きしていく。
力がこれ以上上がらないと思ったら次はより素早く動くイメージをする。
防御も同じようにどんな攻撃がきても弾くイメージをしてより固く。
どんな術式でもより高度に軽々扱う賢いさまを思い浮かべ支援魔法を発動していく。
限界を超えて支援魔法を扱ったことで頭が熱い。
知恵熱と言う奴だろうか。
「いいのう。いいのう。今はそこまでが限界じゃろう。だが体が脳が今の動きに慣れてもっと先が見えるようになればもっともっと強化することができるじゃろう」
「はは。これが支援魔法。今なら何でもできそうな気がします」
「続いて転移魔法を覚えてもらおうかのう」
「興味はありますがどうしたらいいんでしょうか」
「行きたい場所を強くイメージして移動するさまを思い浮かべるのじゃ。最初は短距離しか飛べぬと思うが熟達すればイメージできる場所ならどこにでも行くことが可能じゃ。まずは目の前に転移することからはじめるのじゃ」
「はい」
目の前をイメージして飛ぶ姿を強く思い浮かべる。
次の瞬間浮遊感に襲われ1歩ほど進んだ場所に体が移動していた。
普通はそう簡単に成功するようなことじゃないのだが過剰にかけられた支援魔法により成功したのだ。
「うまく転移できたようじゃの。千里の道も一歩から少しずつ距離をあけてひたすら繰り返すのじゃ」
「はい」
クロードは回復薬のお世話になりつつひたすら転移を繰り返すのだった。