百六十話
午後の授業も終わり演習場の使用申請を出してクロードとエリーゼは他の女子生徒も連れて演習場にやってきていた。
エリーゼに魔法を教えることを知った女子生徒達は自分達にも教えてほしいと頼み込んできたのだ。
「エリーゼは2本同時に放つことから始めましょうか」
「わかったわ」
エリーゼに課題を与えてから女子生徒達の現在の技能を確認してアドバイスを送る。
魔力切れになった人には魔力回復効果のある回復薬を渡して練習が続行できるようにフォローすることを忘れない。
魔力を増やすには使い切るか魔物を倒してレベルをあげるかだが今回は魔力切れを回復薬で回復することによって無理矢理伸ばす方法を採用している。
全体を監督しながら安全面も考慮しつつ教えるのは大変だが多くの兵士や騎士を育てた経験から問題なく指導を続ける。
エリーゼも2本目の発動に成功したようで今は精度を上げるべく練習中だ。
演習場にレイシャ先生が顔を出す。
「心配して様子を見に来たのだけど皆授業の時よりうまくなっているわね」
「皆集中して取り組んでいますから」
「それにしても魔力切れをよく起こさないわね」
「回復薬を使っていますから」
「回復薬を・・・。よくそんな数あったわね」
「僕自身も調合できますしプロミネンス領とニーパス領には錬金術工房がありますから」
「学園で回復薬を使うのは演習の時ぐらいなのよ」
「そうなんですか。僕は師匠に嫌ってほど飲まされましたし兵士や騎士団を育てるときも普通だと思ってました」
「絶対普通じゃないですよそれ」
「回復薬を飲ませるのはやめた方がいいですか」
「いえ。問題無いならこのまま進めてくれていいですよ」
「わかりました」
「それでは私は他にもすることがあるのでいきますね」
「はい」
夕方までエリーゼと女子生徒達の魔法の練習に付き合ったクロードは自分の寮に戻ってきていた。
夕食を手早く済ませ先日手に入れた古代魔法の本を読んでた。
皆が頑張っているので自分も頑張らなければと触発された結果だ。
「これは今までの魔法のアプローチとは別物だね。でも使いこなせたら便利そうかな」
新しい発見をノートにまとめて書いていく。
気になる点を確認するために砂漠に転移魔法で移動して一つ一つ検証を進めていく。
検証が終わったのは夜も遅い時間となっておりクロードは急いで寮に戻ると寝るのだった。
翌日クロードはいつもより遅く起きて急いで朝食を食べて教室に向かったのだった。
欠伸を噛み殺しながら過ごしたのは言うまでもない。




