百五十五話
クロードは教師から研究家に好評だという歴史書の続編を執筆していた。
ドアベルが鳴ったのに気づいて執筆の手を止めて玄関に向かう。
「はい」
「クロード。大丈夫なのじゃ。寮から全然で出てこないから心配したのじゃ。です」
「すみません。本を読むのと執筆に夢中になってしまって」
「心配して損しました。今日は御飯のお誘いにきたのじゃ。ですよ」
「お誘いいただきありがとうございます。お言葉に甘えますね」
「ついてきてください」
エリーゼの後に続いてエリーゼが暮らしている寮に向かう。
寮の中に入ると作りは自分が暮らしている寮と同じだった。
「こっちです」
備え付けの食卓に案内されて腰をかけると食事が運ばれてくる。
運ばれてきたのは焼き立てのパンに新鮮なサラダ。
目玉焼きとベーコンに琥珀色のスープだった。
「美味しそうですね」
「アイナの料理は絶品なんですよ」
早速焼き立てのパンに手を伸ばすとふわふわしているのがわかる。
焼き立てのパンを食べるのは久しぶりですぐに１個食べてしまった。
他の料理にも手を伸ばす。
どれも絶品で美味しい食事はすぐに終了してしまった。
食事の終えるのを待っていたように食後の紅茶をアイナさんが入れてくれる。
入れてくれた紅茶はフルーティーな香りがしている。
口に入れてみればほのかな甘みが口の中に広がる。
「この紅茶。私のお気に入りなんですよ」
「とても美味しいですよ」
「それはよかったです」
穏やかな時間が過ぎてゆく。
「クロードは何の本を書いていたのですか」
「評判が良かったので歴史書の続きを書いていました」
「歴史書。教師の方も言っていましたね」
「よかったらエリーゼも読んでみますか」
執筆した歴史書の１巻と２巻をアイテムボックスから取り出す。
「ありがとうございます」
「それでは僕はそろそろ失礼しますね。食事とお茶ありがとうございました」
「いえ。また来てくださいね」
エリーゼの住む寮を後にして自分の寮に戻ったクロードは一気に執筆中の歴史書を書き上げてしまう。
クロードは書き上げた本を手に職員室へと向かった。
「失礼します」
近くにいた教員が対応してくれる。
「クロード君よく来たね。何か困りごとかな」
「いえ。新しい歴史書を書いたので総評をしてもらいたくて」
「なるほど。ゲイル先生ちょっといいですか」
ゲイルと呼ばれた初老の男性教師が近づいてくる。
「何か御用ですかな」
「クロード君が新しい歴史書を書いたのでその総評をしてあげてもらえませんか」
「なんと。そういうことなら任せてほしい」
ゲイル先生は物凄いペースで歴史書を読み始めるのだった。
