百五十一話
「教師の手伝いですか」
「難しく考える必要はないよ。教師の補佐やわからない生徒に教えてくれればいいんだ」
「それって学生って言えるのでしょうか」
「他人に教えることでより物事をより理解する。君も得るものがあるんじゃないかな」
「なるほど。一理ありますね」
「早速で悪いんだが教本のこの部分を確認をしたいんだが」
「その部分はですね。実際に何度か魔法を発動させて実験を行いました」
堰を切ったように教師達がクロードに質問をぶつける。
クロードは丁寧に解説しながら質問に答えていく。
「いやぁ。長年の疑問が解消されてすっきりしたよ」
「お役に立てたようでよかったです」
「クロードは凄いね。私もそんな風になれるかな」
「今から勉強を頑張れば大丈夫だよ」
「クロードはこの後どうするの」
「王宮から呼び出されているから王宮に向かうけど」
「なら馬車を待たせてあるから一緒にいきましょう」
「うん。いいよ」
職員室を辞してエリーゼと二人で馬車の待機場所に向かう。
馬車は王国の紋章が描かれており豪華な作りとなっていた。
御者は余計なことは言わずに二人が乗り込んだのを確認して御者が馬車をゆっくりと発進させる。
馬車に揺られながらもエリーゼはご機嫌でクロードに話しかけてくる。
クロードもそれに応えながら楽しい一時を過ごした。
楽しい時はあっという間に過ぎ気づけば王宮に着いていた。
「また話し相手になってくださいね」
「うん」
エリーゼと別れたクロードは謁見の間を目指す。
謁見の間にはすでに多くの貴族が集まっていた。
視線が集まるが気にせずに列に交じる。
しばらく待機していると国王陛下の入室を告げる声がする。
「ポセイドス・ド・ゲルマン陛下の入室である」
膝をつき頭を下げる。
「皆の者。楽にしてくれていいぞ。本日集まってもらったのは他でもない転移門に関する問題である」
「皆も知っての通り転移門からは魔物が流れてきて民の脅威になっているのはわかっていると思います。これを解決するために全員が努力しているのはわかっておりますが一部の貴族の負担が大きく王宮としてはこれを危惧しております」
「余としても見捨てたくはないが予算には限りがある。際限なく寄りかかられれば王国とて倒れる。皆にはそのことを理解してもらいたい」
事実上の資金提供の打ち切り宣言である。
クロードが資金を提供したが支援を求める貴族が多くその資金すら危うくなってきていたのである。
資金調達をしようと思えばできるだろうがそれでは健全な国家運営とは到底言えなくなってしまう。
国王であるポセイドスと宰相のリッチマンは損切を決めたのである。




