百四十四話
クロードはここ数日勉強に力を入れていた。
何故かと言えば王都の学園の入学試験が近づいてきたためだ。
クロードは兄様や姉様に教わったのに中途半端な点数は取れないと気合を入れていたのである。
そしていよいよ試験の前日となっていた。
「それでは僕のいない間よろしくお願いします」
「任されました。何かあれば連絡いたしますのでご安心ください」
後をミッシェルに任せて王都へと転移魔法で飛ぶ。
王都で宿をとったクロードは部屋に引きこもり参考書を片手に最後の追い込みにはいるのだった。
そして迎えた試験当日。
クロードは学園へと向かった。
「王都には何度かきたことがあるけどこっちのほうに来るのははじめてだな」
学園は規模では王宮に負けるものの城だと言われても違和感のない外観をしていた。
「試験を受ける方はこちらで記入の後受験札を持って指定の場所へ行ってください」
クロードは受付の列に並び自分の番を待つ。
自分の番になったので名前を記入して受験札を受け取る。
「貴方はまず武技の試験です。案内板に従って速やかに試験会場に向かってください」
案内板に従い学園を進んでいく。
しばらく進むと練兵場のような場所にたどり着いた。
「試験を受ける皆様。ここでは武技の実力をはかります。用意された武器の中から得意な物を選んで
試験官と戦うだけの簡単な試験となります」
クロードも剣を選び列に並ぶ。
練兵場では試験官と戦っている受験生が何人か見受けられる。
受験生の方の動きは基礎のできている者や構えがめちゃくちゃな人など様々だ。
試験官は基礎がしっかりできており余裕を持って受験生の相手をしている。
しばらく他の受験生の動きを見ていたら自分の順番になっていた。
「次の奴。前に出ろ」
「はい」
クロードは剣を正眼に構え試験官と相対する。
「自由に打ち込んで来い」
「いきます」
クロードは上段に振りかぶりそのまま斬りかかる。
試験官は剣を受けるが僅かに体が後方に下がる。
「おいおい。すごい威力だな」
試験官が横なぎに剣を振るってくるがサイドステップでそれを避け連撃を繰り出す。
試験官は防戦一方となり装備している鎧に何発かヒットする。
「待て待て。降参だ。お前の勝ちだよ」
「ありがとうございました」
「お前名前は」
「クロードといいます」
「そうか。クロード他の試験も頑張れよ」
「はい」
「武技の試験の終わった方は魔法の試験になります。案内板に従い移動してください」
使った剣を元の位置に戻して係の人の指示に従って試験会場を移動する。
波乱を巻き起こすクロードの試験はまだ始まったばかりだった。




