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龍の子   作者: 選択肢が多すぎて辛い
序章 
9/17

another

 夢みたいな一日だった。始まりはとても悲しいものだったけれど、今は最高の一日になった。アレンに買って貰った服を箪笥に直す。

 タンスを閉じたら今日が夢のように消えてしまいそうでタンスを閉じようとして、開けてを何度か繰り返した。

 一人で部屋にいると少し落ち着かない。初めてこんなに広くて綺麗な場所にいるからソワソワする。

 部屋を出ると、隣の部屋も同じように開いてアレンが出てきた。


「ノーラ、どうしたの?」

「なんだか、落ち着かないの。まだ夢心地で凄くフワフワした気分だから」


 アレンには伝わらなかったようで首を傾げている。


「アレンはどうしたの?」

「僕は、ノーラとお話ししようと思ったんだ。色々と伝えたい事があったから。そこの、大きな椅子で話さない?」


 アレンはそう言って大きなソファを指差す。すごくフカフカで座り心地が良さそうだ。私は頷いてソファに向かうと、アレンはトトトッと横を走っていってソファに勢いよく座った。ボフッと音がして包み込むようにソファが沈み込んでいた。


「アハハ、フワフワだよ」


 アレンはいつも通り楽しそうに笑う。そんなアレンを見ていると、凄く楽しい気分になる。

 私も思わず勢いよく腰を落とす。ポフッと柔らかく体を受け止められた。本当にフワフワだ。

 凄く気持ち良くて、腰を少し上げて下ろしてを繰り返す。その度にフワッとした感じに包み込まれて凄く気持ちいい。横を見るとアレンが楽しそうに私を見ていた。少し恥ずかしくて顔が熱くなる。


「それでね、僕はノーラに会えてよかったよ。僕さ、この街に来てすぐ嫌なことがあってさ山に帰ろうと思ってたんだ。父さんは嫌がるかも知れないけれど、それでも良いかなぁって。でね、迷ってる時に偶然ノーラと会えて、それに凄く優しくしてくれて、とても嬉しかったんだ……

「それなら私だって、……


 私もお礼を言おうとしたら、アレンが少し待ってと手の平をこっちに向ける。


「僕がいた山は人が居なくて、仲間がずっと欲しかったんだ。僕が何なのかも分からないし、父さんとは見た目が全然違うし。だから、ノーラに普通に受け入れて貰えた時にとてもうれしかった。

 きっと、この気持ちは誰にも、もちろんノーラにも分からないと思う。けれど、その時本当に、僕にとってノーラはすごく大事な存在になったんだ。

 それで、昨日、ノーラに怒られ喧嘩した時に伝えとけば良かったと思ったとがあるんだけど、僕は絶対にノーラの味方になるから。それだけは忘れないでね」


 アレンはそう言って私の髪にキスをしてくれた。彼は普通に悪戯っぽく笑っているけれど。とても大切にされている気がする。私は、こんな経験初めてで、凄く恥ずかしい。多分、もう顔が真っ赤だと思う。

 でも、アレンの気持ちに応えたくて私もアレンにお礼を言う。


「私も、アレンに本当に感謝してるの。今まで色んな人に馬鹿にされて、いつも楽しい事なんて全然なかった。ニコとか友達は、みんな家族がいて私と本当に仲良くなると、保険のない私はお荷物になっちゃうし。ソーニャには家族がいるから、あまり迷惑をかけられない。それにスラム育ちで家族もいない汚い格好をした私と仲良くなりたい人なんて、街にはいなかったから。だから、アレンが私を頼ってくれた時は本当に嬉しかった。誰の役にも立たない、お荷物じゃないんだって思えたし。私を見て嫌な顔もしないから。

 昨日、アレンを怒鳴りつけてしまって凄く後悔したし、あっという間に私の手の届かない所に行ってしまうと思った時はとても胸が痛かったの。


"少し声が震えている。嬉しくて涙も出てる。けれど最後まで伝えたい"


それで、その後、商業ギルドで私を家に入れてくれるって言ってくれた時は、本当に幸せだった。その上、綺麗な服も買って貰えて、初めて街を歩いていて楽しい気分になれた。だからね、私の方がありがとう。私も、貴方と会えて本当に嬉しい。これからもずっと一緒にいてね」


 これから先何が起きるか何て分からない。アレンは魔力が多くて魔法も使える。私と違って、きっと多くの人に必要とされると思う。きっと、私とアレンは不釣り合いなんだと思う。

 それでも、出来るだけ長い間一緒にいたい。アレンに必要とされていたい。

 その為の努力を惜しむつもりはない。無意味にただ、目的もなく、いつかの幸せの為に生きる日々は今日終わった。これからは今掴んでいる幸せを逃さない為に生きようと思う。

 

 

此処で一段落。という事で一旦切ります。

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