お出かけ
忙しい時期ですね
「あの、ノーラちゃん?」
「うん?」
ノーラの後ろには褐色の少女が立っていた。獣の耳と尻尾を持っている、のにノーラと一緒にいる。
「あっゴメンなさい。アレン、この子はアンナちゃんよ。昨日と今日一緒に働いてるの」
「はっ、初めまして。カラカル族のアンナです。アンって呼ばれてます」
カラカル……カルかな。うん、カルが良い。
彼女は少し緊張してるみたいで背筋と尻尾と耳がピンとしている。すごく触りたい。
「よろしく、僕はアレンだよ。宜しくね、カル」
「カル?」
「うん、僕を育ててくれた人の名前がアンって名前だったから。分かりにくいし、そう呼びたいなって」
ダメだったかな。
「分かりました。アンナ=カラカルが名前ですし大丈夫」
「ありがとう。僕の事は好きに呼んでくれて良いよ」
「うん、じゃあアレンさんで良い?」
「良いよ。仲良くしようね」
「うん!」
カルはすぐに頷いて、嬉しそうにギュって抱きついてきた。丁度、なで易い場所に耳がある。猫っぽい耳に触覚みたいな毛が生えてる。コレは多分センサー的なやつだ。取り敢えず気づかれる前提でゆっくり手を伸ばして頭を撫でると髪の毛も凄くふわっとした感触だ。嫌がられるかなと思ったけれど嬉しそうに頭を寄せて来た。
「二人が仲良くしてくれて嬉しいけれど、先に依頼の報告に行きましょう」
「うん!」
ノーラとカルは2人で依頼の報告に歩いていった。
暫くして2人は戻ってくる。
「それじゃあ、私は帰るね。ノーラちゃん、アレンさん。またね!!」
ギルドを出たところで、カルは嬉しそうに手を振って住処に戻って行った。
僕とノーラも家に帰る事にする。
「アレンCランクになったの!?」
「うん!なったよ。Dランクのカード折角発注したのに無駄になるって受付の人が怒ってた」
「凄い!Cランクになるのは、とっても難しいって聞いたよ」
「ふふー!凄いでしょう!!」
褒められたのが嬉しくて胸を張るとノーラは少し寂しそうに笑った。
「頑張るから、置いていかないでね」
小さく、そんな声が聞こえた。
勿論、コレからも一緒にいるよ。そう心の中で返してノーラの手をギュッと握って一緒に家まで歩いて帰った。
○○○
「ねぇアレン、魔力の使い方を教えてほしいの」
ご飯の後に本を読んでいたノーラがそんな事を言い出した。少し困る。
「どうしたの、急に魔力の使い方なんて」
「お仕事をするのに必要だから。人に教えてもらうのが一番使える様になり易いって聞いたの。それで、良かったら使い方を教えて欲しいの。お願い!」
教えるのは問題ない。けれど、ノーラの場合はそれ以前に問題がある。困ったな……
「教えてあげたいんだけど、教えてもノーラは魔法を使えないよ。多分、体を強化するのも難しいと思う」
「ど、どうして」
ノーラが泣きそうな顔になる。爪が掌に食い込むくらい強く手を握りしめている。
だから言いたくなかったのに。でも、コレはチャンスかも知れない。
「魔力量が足りないんだよ。体全体に回す程の量が無いんだ。だから、魔法どころか物に纏わせるのが難しいんだよ。体を強化するので精一杯だと思う」
「じゃあ、私は何をしても無駄なの?」
「ううん、そんな事ないよ。魔力を増やす方法はあるから」
「本当!!どうすればいいの?」
「魔物を倒すんだよ」
「えっ?」
ノーラが少し驚いた顔になる。
「小さい頃、父さん聞いたんだけど。魔力の強い生き物を倒すと、魔物の魔力の一部が倒した生き物の中に入っていくんだって。僕の予想だけど、魔物を倒す冒険者の人に強い人がいるのはソレが理由だよ。僕も子供の頃から魔力が増えてるし、ノーラも増えると思う」
「私、魔物と戦った事なんて無い……。それに生き物を殺すなんて出来るか分からないし……」
「ノーラが本気で魔力を使いたいなら、僕が手伝うよ。だから、考えておいて。狩りは凄く危ないから。迷ってたら死んじゃうかも知れない。だから、どうするか決めたら声をかけて」
「うん」
もし、ノーラとパーティーを組めたら素敵な事になると思う。戦い方を教えてあげたり、守ったり守られたり。模擬戦したり。色々な事が出来る様になる。
今から返事が楽しみだ。
その夜にノーラから返事を聞いた。一緒に狩りに行く事になった。明後日に大事な仕事があるって事だったから、その次の日から始める事にした。そして、明日は武器を買いに行くという口実で一緒にお出かけする約束もした。大勝利の1日でニマニマが止められなかった




