別話 火種の懸念
短い代わりの三日連続投稿でっせ!
「……やはり、ここは様子を見るべきだろう」
「臆シタカ」
「しかし、戦争を、しない方が、良い。何より、一般市民は、誰も、望まない」
「でも、攻撃されて後手に回るのも良くないわ」
「いや、むしろ攻撃を受けたほうが良いのではないかえ?」
「それは農民のみんなが困るだ」
「とりあえず歴史には残るように根回しを…」
「お主、今はそんな場合ではないじゃろうて」
「グギガ!コレだから歴史狂いは」
「皆さん!落ち着いて!あとそこのお三方、本題から逸れていますよ」
種族も望みも違う十種の人族が一堂に会し、議論を重ねている。争わずにだ。つい数百年前まではとてもあり得なかったことだ。
それぞれが深慮であるので普段は特に問題もなく進んでいく議論だが、この日は違う。先日、ある事件が起き、ただでさえ扱いにくかった戦争の火種が活発になってしまったのである。そもそも、この火種に対して、個人でも対応の主張が違うこともあれば、種族でも違ってくるところがあるのだ。
その上、この十人が火種の扱い方を間違えれば、人族の情勢は数百年前まで逆戻りするのだ。つまり、再び十種の人族が争いあう時代が来るのだ。
それはどの種族も望んでいない。それ故、誰もが慎重に話し合っているのだ。
「なぜだ!歴史は重要だろう!?」
「ええい!少しは歴史から離れぬか!」
「ちょっと、話が、逸れてるよ」
「皆さん!」
……慎重に話し合っている、はずなのだ。
議会筆記委員の一人になってからこんなことは初めてだ。一体どんな風に書き記せば良いものか。
「ん?グレッグ君、手が止まっているがどうしたのかね?」
「いえ、この会話をどう記したものかと思いまして」
「そりゃ、こんな様子じゃ悩むよなぁ」
「全くだの」
「ええ、本当に」
「それは君、そのまんまだよ。もちろんこの会話も忘れずに記録を」
「……はあ、とりあえず一時中断ということで。このままでは話が進みません。それぞれもう一度よく考え、自らの種族としての話もしっかりとまとめた上で、また集まるとしましょう」
その締めに全員が納得の返事をしたことで、この日の話し合いは終わりを告げた。




