サトラー達、年を越す
感想欄で予想以上にリクエストがあったので、本編後半の開始前に書いてみました。
本当は三が日に更新するはずが、忙し過ぎてこんな時期になってしまいました。お待たせしてすみません。
本編とは全く無関係な、ただひたすらにシュールで無駄に長い閑話なので、飛ばして頂いても一向に構いません。
年の暮れ12月31日の午後9時過ぎ。
世間の多くの人々が夕食を終え、家族団欒を楽しんでいる頃、富士山麓に広がる青木ヶ原樹海。通称富士の樹海の中を進む、1つの人影があった。
その人影は袈裟を着た老人であり、その足元には草履。しかも、手には明かりの類を一切持っておらず、およそ樹海に入る装備ではなかった。
また、歩いている場所は遊歩道から大きく外れており、現在時刻も考えると、自殺志願者かと思われても無理のない状況だ。
しかし、実際は違う。
彼はある1つの目的のために、この樹海を訪れているのだ。その証拠に、彼の歩みには一切の迷いがなかった。
だが、その歩みはある場所でピタリと止まった。
そしておもむろにその場で膝を折ると、何かに向かって手を合わせ始めた。
その“何か”は、大きなヒノキの根元に立っている、苔むしたお地蔵様だった。
半ば木にめり込むようにして立っており、全体を苔が覆っているために、多くの人は近くを通っても見逃してしまうだろう。
いや、たとえその存在に気付いたとしても、一般人がこのお地蔵様を気に掛けることはない。
なぜなら、このお地蔵様に意識を向けることが出来るのは、悟りを開いた者だけだからだ。
更に、そこに足を踏み入れることが出来る者は、その中でも非常に限られる。
そして、彼はその限られた内の1人だった。
老人が立ち上がり、何気ない足運びでお地蔵様の横をすり抜けると、途端に先程までの鬱蒼とした樹海の景色が消え、森に囲まれたお寺が目の前に出現した。
このお寺こそ、高位のサトラーしか辿り着くことが出来ない伝説の寺院、その名も“富寺”だ。
悟りには52の位があり、低い位だとふとした拍子に俗人に戻ってしまう。
しかし41位以上、現代風に言えばサトラーレベル41に達すると、不退転位と言い、決して揺らぐことのない悟りの境地に達したことになるのだ。
そしてこの富寺に辿り着くことが出来るのは、その不退転位に到達した者のみである。
老人は、しばし周囲を感慨深げに眺めた後、正面にあるお寺の本堂に足を向けた。
本堂とは言っても、中に仏像の類は一切存在しない。
なぜなら本堂に安置される本尊は宗派によって異なり、そして、この富寺には宗派が存在しないからだ。
この富寺は飽くまで修業の場であり、全てのサトラー達の聖地である。
故に、特定の宗派を連想させるものは一切存在しない。
老人が本堂に足を踏み入れると、そこには50人ばかりの彼と似たような恰好をした僧侶達が集まっていた。
誰も彼もが例外なく年老いており、一番若い者でも60を下回ることはないだろう。
しかし、彼らはみな若者にも負けないくらい生気に満ち満ちており、病を得ている者はもちろん、腰が曲がっている者や歯が抜けている者などは1人としていなかった。
彼らはほとんどが男性であり、本堂のあちらこちらに集まって様々な雑談に興じていた。
本堂は板敷であり、座布団の類は一切なかったが、彼らは誰もそんなことは気にした様子もなく、冷たく固い床に直に座り込んでいた。
「おや、そこにいるのは倉瀬の」
そこで、老人に横合いから声が掛けられた。
声を掛けたのは、この場では圧倒的少数派である女性の1人だった。
そして、彼女が他と異なるのはその性別だけではなかった。
彼女はこの場で唯一髪を剃っておらず、着ている服も袈裟ではなく着物だったのだ。
その姿には、彼女の落ち着き払った佇まいもあって、さながら高級料亭の女将のような品が漂っていた。
ただ、ことこの場においてはいささか以上に場違いな感は否めなかった。
「おお、更科の」
しかし、老人──いや、倉瀬田悟郎は、そんなことを気にした様子もなく、その老女──更科奈美枝を見て懐かしそうに目を細めた。
そして、旧交を温めるべく彼女の前に座った。
「久しぶりじゃの。おぬしがここへ来るとは。15、6年ぶり……いや、もっとかの?」
「そうねぇ……最後に来たのが末の孫娘が生まれた年だから、17年ぶりになるかしら?」
「おお、そんなになるか。いやはや、時が経つのは速いの」
自分でも年寄り臭いことを言った自覚があるのだろう、田悟郎は顎を撫でながら微苦笑を漏らした。
田悟郎がどう見ても尼僧には見えない彼女の外見を気に掛けないのは、実際に彼女が尼僧ではないと知っているからだ。
彼女は田悟郎やここに集まっている他のサトラー達とは違い、武の道を極めたその果てに、悟りの境地へと至ったのだ。
それはさながら、元は夜叉でありながら仏道に帰依し、仏法の守護神となった十二神将のように。
実際、彼女は若い頃に色々とやんちゃをしていたこともあり、一部のサトラー達の間では“鬼神”などと称され畏れられている。
田悟郎は、そんな彼女と気兼ねなく話せる数少ない内の1人だった。
「それで、どうしたのじゃ? おぬしが坊念会に顔を出すとは。何か心境の変化でも──」
そこまで言い掛けたところで、田悟郎は奈美枝の衣装に気付いて口を噤んだ。
近くで改めて見て気付いたが、その着物は上から下まで、果ては帯まで黒一色だったのだ。
更にはその下の長襦袢は対照的な白。
それらを見て、その意味に気付かないほど田悟郎は耄碌していない。
「……誰ぞ、身内に不幸でもあったのかの?」
「ええ、上の孫娘が今年の3月にね……」
そう言うと、奈美枝は膝に乗せていた風呂敷を解いた。
その中に入っていたのは、黒い額縁に入れられた1枚の写真だった。
その写真には、学生服を着た高校生くらいと思われる美しい少女が写っていた。
「む……」
田悟郎は、その写真の中の少女に若かりし日の奈美枝の面影を見た。
そして、無言で手を合わせると、若くして亡くなった少女に黙祷を捧げた。
「若いのぉ……わしの孫と同じくらいか? 可哀想に」
「えぇ……まだ高校2年生だったわ。本当に突然のことだったから……せめて、今年くらいはこの子のために祈ろうと思って」
「そうか……」
それから、田悟郎はもう一度手を合わせると奈美枝の前を辞し、他の顔見知りのサトラー達と旧交を温めた。
「ほう、倉瀬の孫がサトラーとなったのか」
「まだひよっこじゃがの。レベルにして5、6といったところか」
「いやいや、それにしても高校2年生で出家もせずにそのレベルはなかなかじゃ。本格的に修業を積めば不退転位に至れるやもしれん」
「まあ、それは本人次第かの……」
6人ほどで田悟郎の孫の話題で盛り上がっていると、1人の老人が思い出したように声を上げた。
「ああ、そう言えば、日蓮宗からサトラーが現れたと聞いたぞ。なんでもおぬしの孫と同じ高校2年生だとか」
「「「「「ほう……」」」」」
その独特な教えから、多くのサトラー達に嫌われている日蓮宗からサトラーが現れたという情報に、残りの5人は一様に不快感を露わにする────ようなことはなかった。
それどころか、素直に感心した様子で言葉を交わす。
「本当に『南無妙法蓮華経』と唱えるだけで悟りを開いたのか?」
「そうらしい」
「ほう、日蓮宗の教えは間違っていなかったんじゃな」
「ふむ、わしも明日から法華経を修業に取り入れてみるか」
「こうなると、日蓮上人がレベル52に到達していたという話もあながち嘘ではないかもしれんな」
「いやいや、それは飛躍し過ぎではないか? 精々レベル51といったところじゃろう」
そう話し合う彼らの様子に、日蓮宗への嫌悪感は欠片も見られなかった。
それも当然だろう。高位のサトラーである彼らにとって、宗派の違いなど最早些細なことでしかないのだから。
彼らが嫌悪感を示すのは、「悟りを目指していながら悟りを開けない修行法を説いている教え」であって、実際に悟りを開けるのであれば何も問題はないのだ。
なんなら、それが仏教でなくても構わない。
実際に悟りを開けるのであれば、それがジャイナ教だろうがヒンドゥー教だろうが、極論どこの宗派かも定かではない新興宗教でも問題はない。
そもそもこの場にいるサトラーのほとんどは、サトラーとしてより高みに至るためにあらゆる宗派の修行法を取り入れているため、最早何教の何派の信者かも定かではない者が大半だ。言ってしまえばほとんどの者が自己流の独自宗派のようなものなのだ。
自分の元の宗派にこだわり、それのみを極めてこのレベルまで至った者や、先程の奈美枝のようなタイプはむしろかなりの少数派だ。
彼らがそれぞれに雑談で盛り上がっていると(盛り上がっている割にはなぜか静謐な雰囲気が保たれているのだが)、本堂の隣の部屋に繋がる襖の前から、穏やかでありながら異様な存在感のある声が放たれた。
「皆様、サトレストが参られました」
その呼び掛けに、本堂にいたサトラー達は一斉にそちらを向いた。
それに合わせて声を掛けた坊主が襖を開けると、奥から白い作務衣に身を包んだ1人の男が現れた。
「おお、サトレスト……」
「相変わらず……いや、以前にも増して凄まじい仙気じゃな」
「なんと神々しい……」
高位のサトラー達に敬意を持って迎えられる彼こそ、この富寺の住職にして、サトラーとして当代一の高みに至りし者、サトレストである。
そのレベル、なんと51。仏の悟りにほぼ等しいということで、“等覚”と称される高みにまで上り詰めている、現代の現人神である。
本名は誰にも知られておらず、ただサトレスト。あるいは彼が辿り着いた“等覚”から取って、T様などとも呼ばれている。
年齢や国籍も一切不詳で、一見30代くらいに見えるが、実年齢は80歳を確実に超えているはずである。顔立ちからしてアジア系であることは確かだと思われるが、日本人かどうかは分からなかった。
しかし、話す日本語に不自然なところはないし、その容姿や立ち居振る舞いはこの場の誰よりも若々しく、生気に満ち溢れていた。
「よく集まってくださいましたね。皆さん」
本堂の奥に座ったサトレストが柔和な笑みを浮かべながらそう言うと、集まったサトラー達は一瞬にしてそのレベル順に二列で彼の前に並び、静かに頭を垂れた。
「それでは、本年の坊念会を始めたいと思います」
サトレストのその言葉を皮切りに、一年に一度の高位サトラー達の集い、坊念会が開始された。
まずは1人ずつ、サトレストにお言葉を頂く。
その内容は人それぞれだが、田悟郎は新たにサトラーとなった孫の前途を祝してもらい、奈美枝は亡くなった孫娘の冥福を祈ってもらった。
そして、それが終わると全員で1時間の瞑想。
次の行事に向けて、各々霊峰富士の息吹を存分に体内に取り込んで仙気を高める。
仙気が最高潮に高まったところで、坊念会前半のメインイベント、除夜の鐘が開始される。
集まったサトラー達が、レベルが低い者から順番に(今年は人数の関係で1人2回ずつ)鐘を撞いていく。
しかし、その光景は一般的な鐘撞きとは根本的に違ったものだった。
そもそも、撞くのに使う棒、撞木が縄で吊られていない。
サトラー達は、直径約50cm、長さ約3m、重さにして300㎏以上ある木の丸太を、自分1人で担いで鐘を撞くのだ。
どう見ても60を超えたお年寄りが、次々と長大な丸太を平然と持ち上げる姿は、一般人が見たら「えっ、ドッキリ? 特殊メイクした若者?」と思うかもしれないが、正真正銘お年寄りだし、丸太も本物だ。
そして、この場にいる者達は誰もその光景に疑問を抱かない。
集まったサトラー達の中で最高齢である、御年104歳になる枯れ枝のように痩せ細ったお年寄りが、まるで角材でも扱うかのような気安さでひょいと丸太を肩に担いでも、誰も眉1つ動かさない。
喪服を着たどこかの鬼神様が、利き手に孫娘の遺影を持ったまま片手で丸太を鷲掴みにし、まるで投げ槍選手のようなフォームで鐘を撞いても、誰も…………いや、よく見ると何人かちょっと引いている。きっと、般若心経が足りていないのだろう。
まあそれはそれとして、不思議なことに、この最中鐘が響く音はおろか、鐘と撞木がぶつかる音さえしない。
いや、実際には音はしているのだが、人の可聴域を大きく外れた極端な低周波であるために、音がしていないように錯覚してしまうのだ。
その鐘の音はこの富寺を中心に日本全国に拡散し、人々の煩悩を祓っていく。
……もっとも、一般人がそれを意識することはないのだが。
集まったサトラー達52名の鐘撞きが最後の1人まで終わると、いよいよサトレストの出番である。
サトレストは年明けに合わせ、残りの回数分(今年は4回)を一息に撞くのだ。
……いや、比喩ではなく本当に年明けに一息で撞くのだ。
具体的には、元日の午前0時になってから午前0時1秒になるまでの1秒の間に、目にも留まらぬ速度で撞くのだ。
今年は4回だが、今までの最高記録は16回らしい。
……念の為言うが、彼の通称であるT様は“等覚”から取ったものであって、某高橋さんから取ったものではない。なんのことか分からない人は16連射で検索しましょう。
「おお、この鐘の音の美しさよ……心が洗われる……」
「やはり、音の質が我々とは全く違うな……」
「この音を聞くたびに、自分の未熟さを痛感させられるわ……」
……もう一度言うが、音は聞こえない。人間の聴覚では絶対に聞こえないはずである。
だから……まあ恐らく、彼らは心の耳で鐘の音を聞いているのだろう。……たぶん。
除夜の鐘が終わると、再び瞑想に入る。
夜明けにある坊念会後半のメインイベントに向けて、再び仙気を高め、自然と一体となるのだ。
そのまま瞑想は5時間以上に渡って続けられた。
そして、夜明けまであと1時間あまりとなったところで徐にサトレストが目を開き、それに続いてサトラー達が次々と目を開けていく。
そして誰からともなく本堂を出ると、遠くまだ夜闇に沈む富士山に向かって、一斉に駆け出した。
当然のように一切の整地がされていない樹海の中を、平地を行くが如き気安さであっという間に踏破し、富士山麓に突入する。
そして、登山道でもない大小の岩がゴロゴロと転がる山肌を、飛ぶように駆けて行く。
……いや、駆けて行くという表現は微妙に正確ではない。
どちらかというと、飛び跳ねて行くという方が正しいだろう。
なにせ、たった一歩で10m以上跳躍し、しかもそれを助走を挟まずに連続して行っているのだから。……約1名を除いて。
「……のう、更科の」
「なにかしら?」
田悟郎は、そのたった1人の例外──普通に走っている奈美枝に声を掛けた。
「おぬし……仙術は使わぬのか? 仏道修行を積んでおらぬとはいえ、使えぬわけではあるまい?」
「もちろん、使おうと思えば使えるけれど……特にその必要性は感じないかしら」
相変わらず孫娘の遺影を両手で抱えたまま、しかし下半身だけは霞むような速度で動かしている奈美枝は、涼しい顔でそう言った。
なんで喪服でそんな動きが出来るのか……出来たとして、なんで一切着崩れを起こしていないのか……鬼神様は不思議に満ちている。
「ふむ……いくらおぬしでも、油断するのは危険じゃぞ?」
この“高速富士登山”は、サトラーレベル40に到達した者がレベル41、不退転位に至るために行う苦行の1つだ。
霊峰富士の息吹をその身に取り込み、麓から山頂まで1時間以内に踏破するという、言ってしまえばそれだけの修業なのだが、成功者は非常に限られる。
理由は色々あるが、一番大きいのは、4000m近い高低差を一気に駆け上がることによる高山病だ。
レベル41以上の高位のサトラーといえども、油断すれば呼吸困難によって命を落としかねない。それだけ難易度と危険度が高い荒行なのだ。
田悟郎の言葉は、それを踏まえた上での忠告だったのだが……奈美枝に動揺はない。
「お気遣いありがとう。でも、この程度なら問題はないわ。今はサトレストも見守ってくださっているし」
そう言って、直径2m近くある落石を片手間に粉砕しながら右斜め前方に向けた視線の先には、奈美枝達の方を向いたまま先頭を行くサトレストの姿があった。
先頭を行くとは言ったが、実際にはサトレストはほとんど動いてすらいなかった。
自分の後に続くサトラー達の様子を棒立ちでジッと見守りつつ、先頭集団が自分に追い付き掛けると、一瞬だけ脚を霞ませて次の瞬間には50m以上先に出現する。
恐らく一瞬にして後方に跳躍しているのだろうが、なぜか音も衝撃波も一切発生しないため、瞬間移動というより空間転移といった方が相応しい状態になっている。
「相変わらず凄まじいのぉ……一体どれだけ修業を積めば、あの領域に至れるやら」
「さあ……とりあえず、輪廻に干渉出来るようにならないと無理じゃないかしら?」
「……? なんの話じゃ?」
「先程言われたのよ……『御安心なさい。貴女の孫娘は、きちんと人間として転生していますよ』と」
「なんと……死者の来世まで見通すとは。どこまでも底知れぬお方よ。素晴らしい」
「そう、ね……」
言葉を濁した奈美枝に、田悟郎は少し違和感を覚えたが、特に言及はしなかった。
実は先程のサトレストの言葉には、『ただ……どうやらこことは異なる世界のようですが』という言葉が続いていたのだが、奈美枝がそのことを誰かに話すことはなかった。
そんなことを話している間にも、サトラー達は文字通り人間離れした速度で登山を続け、夜明けの直前に山頂に辿り着いた。
確実にいくつかのオリンピック記録を軽々と塗り替えている速度だが、ツッコんではいけない。ツッコんだら負けだ。
山頂には、新年のご来光をカメラに収めようと、既にいくつものテレビクルーが先客として集まっていた。
しかし、霊峰富士の息吹を取り込み、自然と一体化しているサトラー達を、俗人である彼らが認識することは出来ない。……くれぐれも、ツッコんではいけない。
各局のテレビクルーがご来光の実況中継に向けて慌ただしく動いている中、サトラー達は白み始めた東の空に向かってその場で結跏趺坐を組むと、坊念会最後のイベントに向けて、今一度仙気を高める。
そして、地平線の彼方から一筋の曙光が射すと同時に喝と目を見開き、先頭のサトレストが麓まで響き渡りそうな大音声で叫んだ。
「あけまして、おめでとうございまーーす!!!!」
間髪入れず、サトラー達も唱和する。
それと同時に解き放たれた膨大な仙気が、富士山上空で渦を巻き、そのまま日本中に拡散した。
その仙気の波動は、1年で溜まった日本中の悪しきものを祓い、清めていく。
1年に一度、青木ヶ原樹海と富士山で人知れず行われている坊念会。
この行事のおかげで日本が悪しきものから守られていることは、一握りの人間にしか知られていない……。
悟りの位:歴代最高位は当然お釈迦様で、52位の“仏覚”。第2位は龍樹菩薩と無著菩薩だが、到達出来たのは41位の“初地”までと言われている(諸説あり)。高名なお坊さんでも10位にすらなかなか辿り着けないというのだから、サトラーレベル5、6でも十分にすごいし、ましてやレベル41以上が50人以上いるなんてまずあり得ない。どんな人外魔境だ。……いや、ある意味極楽浄土か?