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D6 おっぱいバトルしちゃった

 ドーン、パン。

 ドーン、パパパパパ……。


 はっ花火は、川向こうで盛り上がっていた。

 本来なら、「あの花火は雛菊のようだね」等と仲良く話して観賞していたのに。

 しっしかし、今、僕らは立ち入り禁止区域付近で何かをするらしい。


『おっぱいバトルしません? 《AAカップ》の櫻庭心さん。《Dカップ》で受け止めてよ』


 僕っ僕は、何を言っているんだ……?

 そして、ぽいんぽいんと自称『Dカップ』の胸を触るなよ。

 じっ自分のだからって、はっ恥ずかしいだろう。

 母さんのより、若い子の胸は恥ずかしいよ。


「ひゃあ、何を仰るの? おっおっ……バトルだなんて」


 そうだよな、何を仰るうさぎさんだよな。

 心さんが照れまくっているじゃないか。

 そっそれより、バトルってどうするんだよ、言い出しっぺの僕。


『おっぱいにも現実があるって事を教えてあげる。こうよ……』


 ニヤリ。


 僕は、ここで笑うかな。

 意地悪くないか?

 ぼっ僕の信条に反するよ。


『寄せて上げて……。ぽんぽん。これができまして? ワタシのサイズなら、余裕でできましてよ』


 ニヤニヤニヤニヤ。

 やっ止めようよ、僕。


「これが、おっ……バトルなのね。いいわ。立ち向かってみせる! まな板の負けっぱなしは哀しいでしょう」


 え?

 心さん、いっ意外とチャレンジャーだなあ。

 ちょっと楽しみにした僕は、愚かでしたー!

 ごっごめんなさい。


 あ、でも、心さんが胸に手を当てて……。

 いやーんなポーズを取り出したし。

 ごっきゅん。


「よっ……。こうかしら? そうだわ、脇から……。あれ? 先ず、真ん中に寄せて……。む、無理かも……。めげないわ」


 いっ一所懸命だなあ。

 意外な一面を見られたぞ。


「うっううう……。寄せて上げて、でさえ難しいわ。その上、ぽんぽんなんて。でも、がんばるわ」


 い、いやあ、鼻血ぶーですよ。

 僕の愛しの心さんが、こんな事をなさるなんて。

 がっ眼福、眼福。


「脇にもお肉ない痩せっぽっちだし……」


 めそっと項垂れてしまった。

 眼福タイムは、おしまいだよ。

 ぼっ僕も現実に戻ろう。


『ないものは、ないのよ。櫻庭心さん』


 「ない」は、禁句だろう。

 他にも優しい言い方があるよね。


「え、そんな……。おっ……は、ないよ。けど、ブラジャーは売っているのよ。同じサイズの方がいる筈ですわ」


 そっそうですよ。

 売っています。


『トップバストが一五センチ差は埋まらないの。覚悟して』


 えーと。

 なっ何のお説教したいのかな?


『櫻庭心さんのご家庭とワタシの家庭、違いますよね? 同じ幼稚園、小学校、中学校に行きましたが。櫻庭心さんは、温かいご家庭で育ち、ワタシは、家庭に居場所もなく過ごしました』


 おい、変態の僕。

 こっ告白はするなよ。


「初めてお目にかかりますが……?」


 僕は、初めましてではないですよー。

 さっ櫻庭心さん。

 片想いの天使……。


『つまり、《AAカップ》を《Dカップ》にする事も、《Dカップ》を《AAカップ》にする事もできない。それは、たとえよ』


 僕は、うっ腕を組み、後ろを向いて話した。


『だから、櫻庭心さんとワタシの家庭は、交換できないの。それが、ワタシの言いたかった、現実の差』


 つっつまり、それって、僕のうちは、一五センチの差しかないにわか『Dカップ』で豊かになったと思っても、櫻庭心さんのうちみたいに心豊かに過ごせていない。

 その現実の差を知りなさいと言う事かな。


 父さんさえ、八つ当たり暴力をなくしてくれたら、普通に心豊かに過ごせるのに。


 ◇◇◇


 そこへ、和太鼓仕込みの連打が聞こえて来た。


 ドーン、パパパパ。

 ヒュー、ドーン。

 パパパパパパ……。


「花火、綺麗ね……」


 こっ心さんが、すっと立ち上がった。

 ちらりと見ると、心さんの顔に菊の花の色が淡くぱぱっとうつって、うっ美しいとは、こう言うものだと思った。


 その時だった。

 

「きゃあ……」


 ズルリー!


 心さんが足を滑らせた。


 下は藤宮川だ。

 流れはきつくないが、川は、危ない!


 ぼっ僕だって、僕だって……!

 愛しの心さんを……!

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