合同練習
「「こんにちはー!」」
「「こんにちは!」」
土曜日。北本中学校と合同練習の日が来た。
「ユーフォ・チューバの人、こっちでーす!」
莉音が同じパートの人を誘導する。
『えーっと、ユーフォ・チューバは全員で3人か……』
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「えっと、このは中学校1年、ユーフォの星野莉音です。よろしくお願いします」
パチパチパチ……
「このは中学校1年、チューバの樋野 康太です」
「えっと、じゃあ順番に自己紹介してください」
と、1番背の高い女子が立ち上がった。
「はい。北本中3年、チューバの野田 ほのかです」
「北本中2年、チューバの浅井 由花です」
「北本中1年、ユーフォの木下 紫穂です」
パチパチ……
「それじゃ、今から楽器ごとに基礎練します」
「「はい!」」
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「えっと、 莉音、ちゃん。莉音ちゃんは小学校の頃からユーフォやってるの?」
基礎練が終わり、2人で話していた。
「うん。そうだよ。こうくんも一緒」
「そーなんだー! 莉音ちゃん、上手だねー!」
「そんなことないよー」
「私、まだ始めたばっかりだから、おかしいところとかあったら言ってね!」
と、人懐っこい笑顔をみせる。
「うん。よろしくね」
2人は握手した。
と、2年の由花がこちらにやってきた。
「ねぇねぇ莉音ちゃん。今の2年生で、吹部に小野田 春海ってコ、いなかった?」
「小野田、はるみ……? ごめんなさい、うちの部にはいないです」
「あれー? おかしいな……」
と、由花が首を傾げる。
「え? どうかしたんですか?」
「いや、私の友達にね、その春海ってコがこのは中の吹部にいるはずなんだけど……」
もしかして、あの写真に写っているかもしれない。
そう思ったが、黙っておいた。
「また、部長に聞いてみます」
「そっか。ありがとう」
「先生から重大な発表するので音楽室に集まって下さ〜い」
と、夏乃が部屋に入ってきた。
「「はい!」」
「重大な発表ってなんだろうね……?」
と、ひそっと紫穂が莉音に聞いた。
「わからないなぁー」