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短期集中連載の予定です。

 俺は平凡な人生を歩む普通の男だった。そんな生活に飽き飽きしていた。いつか俺の力を存分に発揮できる時が来るのではないかと思い、人生を生きたが、自動車にはねられて死んだ。

 気が付くと、俺はどこかの西洋風な王宮の一室にいた。

「あ、勇者さまが召喚されましたよ」

 若い女がそういった。

 うん? ひょっとして、これは転生というやつじゃないのか。俺は異世界に勇者として召喚されたらしい。これは好都合だ。俺が前世で暇つぶしにやっていたゲームの勇者というのは、どうにもとろくさくてやっていけないと思っていたのだ。ひとつ、おれがその気になったら、どれくらい上手く勇者を演じられるか見せてやろう。上手く、そして、美味しく。

 ごくり。俺はつばを飲み込んだ。ここは王宮だ。居並ぶ連中の中には美少女もいる。だが、目につくクソブスがむかつく。俺の視野に入るんじゃねえ、クソブスが。俺は勇者だぞ。

「勇者さま、どうか私どものお願いを聞いてくださらんか」

 というじいさんがいる。玉座に座っている。ということはこいつが王様か。

「なんだ、俺は勇者として召喚されたのでまちがいないんだな」

 と俺が聞くと、

「はい、そうでございます」

 と、右手の大臣がいった。俺は喜んだ。

「願いとは何だ」

 俺が聞くと、

「それは、実は、地上はもうすぐ魔族に滅ぼされてなくなってしまいそうなのです。それで、勇者さまには、どうか、私どもの国を救うべく、いえ、人類を救うべく、魔王を退治してくださいませんか。勇者さまにしか魔王を倒すことはできません。どうかお願いいたします」

 王様が頭を下げてお願いしてくる。

 俺は、こういう時にどう行動をとるべきなのか、他の勇者たちはまちがえていると常々思っていた。

「ほう。俺に魔王を倒せというのか、王よ。ならば、剣を差し出せ。この城でいちばんよく切れる剣を俺に与えろ」

 王様は、

「勇者さまが剣をほしがっておる」

 といって、配下に促した。俺は剣を渡されるのを待つ。もともと、勇者を召喚しようとしていた連中だ。剣はすでに用意してあったようだ。さっそく、俺に剣が渡された。

 すらりと剣を抜いてみる。剣がきらりと光る。うむ。剣など振るうのは初めてだが、これが上等な剣であることはわかった。

 予想通りだ。見ていろ。

 俺は、王の前に歩いていった。王は少し、目をぱちくりしていた。勇者から身を引いてはいけないとみずからを戒めているようだった。好都合だ。

 俺は、剣をそのまま横になぎ、王様の首をはねた。

「これからこの国は勇者である俺のものだ。おまえら、全員、俺の命令を絶対に守れ」

 家臣たちが騒いだ。

 しかし、すでに、王様の首は胴体を離れ、落ちてしまっている。

「魔王を退治してほしければ、国中の女を全部、俺によこせ。これから、王宮は俺の城として使う。勇者の命令に逆らうやつは皆殺しだ」

 こうして俺の冒険は始まった。


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