:へーんしん☆
やっと載せられました。
次のネタが出来ている訳ではありませんが、良ければ一緒に応援してください
せーの・・・
続きは物語にて。
日曜の朝10時に俺の目線は兎を捉えた。
そこは脱衣所ではあるが、未だパジャマのワンピース姿の妹にニヤニヤしたりはしない。
少なくとも表情はポーカーフェイスの筈だ。
兎「へーんしん!」
何やら小さな指先で大きく線を描き始めたが、何に変身しちゃうのかな?
兎「とーっっ。」
今度は側転を始めたらしく、こっちに向かってきた・・・が、上手く回転できずにゴロゴロと反対方向に行ってしまった
しばらくして風が吹いても、こちらに転がってくる様子はない
でも大丈夫・・・
よい子のみんなで名前を呼べば気づいてくれる筈だ。
せーの、
ムーンライダー!!
兎「気を取り直してもういっかい、ムーンライダーに、なれー。」
立った!!
掛け声違うけど
兎が・・・ムーンライダーが立った。
立ったぁあ!!
よい子のみんな、ありがとう
今日も迫瀬家は平和なり・・・と、
記念に一枚頂きましたー。
うん、データも保存出来たし、満足だとその場を離れようとしたその時
ムーンライダーが例のシーンに入ろうとしていた
今度こそ、あの側転を繰り出すのか?
兎「ほっ」
足が上がり・・・やばい、白い。
スカートが捲れ・・・こっちはピンクで
そのまま・・・崩れたー
だがさっきと正反対の方向に転がった為に、見えそうで・・・?み、えない・・・?
いや、見えそう!!
そう思いカメラを再び構えるが
流石にそれはまずいって。
義理とはいえど、妹の・・・スカートの中身をなんて・・・人間として、兄として、恥ずかしくはないか?
それにさ、
あれはムーンライダーであって、兎じゃないんだ。
だから・・・いや、待てよ?
寧ろムーンライダーの方が都合がいいのでは?
だってヒーローは見られる仕事だし、
見られないと商売にならないし、
地球を救ったってやりがい感じないだろうし
そうだよ、ヒーローものには悪役が必要だ。じゃなきゃヒーローの意味もないし。
ここはあれだ、悪役になろう。
液晶画面の中央にムーンライダーが入るように位置を合わせ、OKボタンを連打―
兎「・・・っ」
ぁ。
気づかれたようだ
まぁ、呼んだのは俺だけど
まさかの液晶画面に写るムーンライダーと目が合ってしまい、その顔はみるみる真っ赤に染まっていった
これやばくない?
兎「きゃーっ!」
やばかった。
だが、今の俺は悪役だ。そのリアクションは嫌いじゃない。
カーテンに隠れようとするムーンライダーを追いかけ、
晴「俺のビームを喰らえー!!」
とフラッシュ攻撃。これなら写メも撮り放題だし、恥ずかしそうにしながらもムーンライダーは技のポーズをとってくれる。
最っ高・・・
?「しゃきーん!!」
声に振り向くと目の前を刀、ではなく傘が旋回して・・・
晴「あぶなっ」
ギリギリで避けた為に尻餅をつき、兎にぶつかりそうになった。
このやろー。
そこには・・・親父が、ピンクのエプロンにピンクのバンダナ、極めつけにピンクのゴーグルを着けてがに股で立っていた
父「すまんが、息子を犯罪者にする訳にはいかんのだ。覚悟ー!!」
言い終わるや否や、こちらも指で線を描くと・・・もしかして。
父「ピンクムーン参上!!」
違うだろー。
それはレンジャーもので、ライダーものの前に出番は終わってますし
ピンクの月とかセンスも風情もないから。
兎の反応は、というと
嬉しそうに目を輝かせていた
嘘だろ!?
どっからどう見てもこんな変態が、ヒーローで言い訳はない。
騙されるな、ムーンライダー。
と言う間もなくムーンライダーから連続技を受け、あっという間に死んだフリをしていた。
後ろの方ではムーンライダーとピンクムーンが勝利した喜びを分かち合っている
何でこうなった・・・
そもそも俺が敵で親父が味方というのが納得いかない。
俺は兎のお兄さんなのに
つーかまだ『おにーさま』って呼ばれてないんだけど
全部全部親父のせいだ
覚えてろよ、親父。