自己紹介(一年生)
それからも何度か翔に連れられて野球部に足を運んだ。そして体験入部を重ね少し悩んだが、結局は野球部に入部することとなった。
そして、場所は野球グラウンドに移り、数人の一年生が一列に並び、その一年生の前に二・三年生かが集まっていた。
「まずは、お互いに自己紹介をしてもらおうかな。まずは一年生から」
と監督から促され、端の生徒から自己紹介を始めた。
前島 勇 ショート
八重 淳 サード
山西 雷太 ファースト
西谷 桂 セカンド
多田 武 レフト
宇田 海 ライト
殆どの自己紹介が終わり、残りは翔と康のみとなった。翔は大きく一歩前に出て自己紹介を始めた。
「速水 翔です!菊央中学ではセンターをやってました!よろしくお願いします!」
翔の自己紹介が終わると同時に周囲がざわめき始めた。『菊央ってあの菊央か!』 『なんでそんな奴がこの学校に?!』など、そんな言葉が康の位置まで聞こえてくる。それを聞きながら、康は何故自分が最後なんだ!と強く思った。翔のせいで明らかに自己紹介できる雰囲気ではなくなったし、何人かは彼の方を意味深げに見つめ始めたからだ。
翔が康も同じ中学出身だと言ったら、後々面倒になる。なので絶対に話さないでほしい。そう思いつつ、早く自己紹介を終えたい康は今か今かと出番を待っていた。
「はいはい、そこまで。まだ自己紹介は終わってないよ」
「最上 康です。キャッチャーをやってました。よろしくお願いします」
場が静かになったところで、すぐさまに自己紹介をする。何とかこの場を逃げ切れればと思っているが、それはあの男によって崩されていくこととなる。
「康君、確か君は入学時から翔君と仲が良かったね。.....もしかして、翔君と同じ中学出身なのかな?」
「ええ、一応そうですが」
監督のその鋭い質問に答えるしかなかった康は、正直に答える。その言葉に、『やっぱりそうなんだ!』 『この学校に二人も入学したのか?!』 『あいつがあの?!』など、またその場は慌ただしくなり、監督が止める羽目になった。
「じゃあ次は二・三年生の自己紹介だね」
監督の言葉とともに、次は二・三年生の自己紹介が始まった。
まあ、結局は野球部に入りましたね。因みに翔は最初から野球部に入ることを決めていましたが。
次回は自己紹介二・三年生です。どんなキャラが出るのか。
次回もお楽しみに~!