過去アルバム~3枚目~
その次の日。私は学校から帰ってきた後、優輝の家に顔を出すことにした。
ピーンポーン・・・。
すると昨日とは違うゆっくりとした足音がして、ドアが開いた。
朱音さんはピンクの春色セーターに、白いフレアスカートを合わせている。
髪が長くて、先のほうがくるんとカールしている。さりげに洒落ている。
「あら、瀬奈ちゃん!」
「あの、優輝は熱下がりましたか?」
「ええ、もう元気だけど、まだベッドにいるのよ。上がる?」
私は頷いた。そして「失礼します」と言い、靴を脱いだ。
(けっこう朱音さんも可愛い趣味してるんだな・・・)
部屋のあちこちに妖精や魔法使いの置物が飾られている。
家族で写った写真もあった。
「優輝!瀬奈ちゃんがお見舞いに来てくれたわよ~」
「え、マジ?!」
優輝の声がして、ドアの向こうから優輝が走ってきた。
「瀬奈!」
「優輝。熱下がった?」
「うん。熱は下がったぜ。あと一日ぐらい休まないといけないらしい」
「大丈夫?」
私は優輝の手を握った。優輝の手は熱があったというのに、とても冷たかった。
「冷たい・・・」
「俺、冷え性なのかなぁ。でも・・・・・瀬奈の手、温かい」
なぜだろう。優輝の前でだけ、素直な本当の自分を見せられるのは。
私はあまり人に向かって心を開いたことが無かった。警戒していた。
いつも、いつでも。しかしなぜか優輝と話すと、硬い心がじんわり解け出していく・・・。
「俺の風邪移っちゃうから今日は帰りなよ。多分明日もバスケコートには来れないかも
・・・・・」
「じゃあ、明日もお見舞いに来ていい?」
「もちろん。暇だったら来いよ。ゲームかなんかで遊ぼうぜ」
「そうだね!今日はもう失礼します。お大事にね」
優輝は玄関まできてこういった。
「ありがとな。お見舞い来てくれて・・・」
「そんなことないよ。またね」
「うん」
その夜――――。
「はあ・・・・・」
私はリビングのソファーに座りながらため息をついた。
「優輝君のこと、やっぱり心配なのね」
母がここぞとばかりにツッコミを入れてくる。
「お母さん!口出ししないでよ!もう・・・・・」
「くすっ」
「ん?!今、『クスッ』って言ったよね?!言ったよね?!」
「ふふ」
「・・・・・(怒)」
優輝が隣に引っ越してからというもの、母は今のようなことを毎日言ってくる。
これじゃまるで母が子供みたいじゃないか。私は首をすくめた。
今の話と次の話とで一話とさせていただきます。(まあ、話の数を増やしたいからっていう願望が密かにありますけどね)




