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祭響夢幻のセプテット  作者: Gno00
Opening ジェック・ベッタ アノイマレオル

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第1話 これを『はじまり』というのなら

 柔らかなボールに抱きつき、座ったまま眠る少女が小刻みに揺れている。

 黒紫色の緩やかなウェーブを描く長髪で、やや紫がかった肌の彼女の周りでは小さな指人形達が集っている。

 

 可愛らしいデザインでありながら服装も種族も異なるそれらには会話するように動くもの、少女の周りを駆け回るもの、どういう原理か飛び回るものまである。

 性質すらそれぞれ異なるもの達が類似点を見つけふれあう様子に囲まれた、眠る少女の口元が緩む。


 理想郷。少女の思い描く光景が可視化されていた。

 物理的に説明のつかない現象は即ち魔法と呼ばれる。この現象は少女が無意識に魔法で引き起こしている。しかして、害は無い。


 魔法を知り得て、尚精通していなければ起き得ない状況が少女が只者で無いと証明している。

 左右が白と黒で分かれた髪の少年を模した指人形が姿を現し少女の眼前に立ったところで少女は目を覚ます。


 夜闇――星無き空に似た暗い黒紫が徐々に広がっていく。開ききったところでしきりに瞬く。

 辺りを見渡すと人形はすっかり姿を消していた。しかし、少女は表情を変えない。


 続いて、鳴り出したラジオへと彼女の視線が移る。三段収納の上に置くそれは軽快な声色でとある著名グループの新曲を紹介し始める。



 『ミュジ市に暮らすフレンズのみんな、良い朝をお過ごしかな? 調子の良いキミも沈みがちのキミもこれを聞いて元気に一日を始めよう! 今一番ホットなグループ『ラ・ダ・リーシェ』が送る新曲、「ルミナス・ウェイブ」!』



 聞こえてくるのは独特な電子音楽。時折、微かに聞こえる波に似た水音と並行する特殊な音声を耳にしてはそれが特に心地良いと少女は感じる。

 静かにノる少女はやがて、背中から倒れていく。その間に姿がDJのような格好になり――床に触れた途端元のパジャマ姿に戻る。



「とってもひびいた。いいかんじ」



 2番を奏でるラジオへ向け、倒れたままサムズアップを視線の先へ伸ばした。星空とも、海中から見る海面とも取れる天井へと。

 光を微かに反射する両の目の輝きが、少しだけ増した。


 独特な雰囲気を纏う、少女の名は結華。

 自然な流れで仰向けのまま伸びをする彼女は心地の良い一日の始まりを迎えるのだった。

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