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11.美人は精霊使いとして覚醒する

精霊王の放った魔法攻撃がエリーゼに迫る。

だがその時、エリーゼの首から下げている紫水晶が激しく光り輝き、精霊王が放った魔法を浄化した。


「こ…これは…?」

なおもその光は辺り一面を照らし続けている。そしてエリーゼは自分の身体の中に膨大な量の魔力が漲るのを感じていた。


それと共に過去の精霊使い達の記憶も入り込んできた。その中にはお母様の名を呼び、その幼子と遊ぶ女性の姿…トゥーリアの姿があった。

ーーやっぱりお祖母様は精霊使いだったのね…

自然と涙が溢れてきた。本来なら母がまず精霊使いとして力を継承するはずだったのだろう。しかしそれに気付くことなく母は亡くなり、今私がお祖母様の力を受け継いでいるのだ。


ならば今エリーゼがする事はひとつ。

ーー泉を浄化する!精霊王の穢れを祓う!!

エリーゼは両手に力を集めて泉の方へ光を放った。


すると精霊王にこびり着いていた黒いモヤは消し飛び、濁った泉の色は綺麗な透明に戻っていった。


「よかっ…た…」

後ろに倒れ込みそうになったエリーゼをアンセルが慌てて駆け寄り抱き止めた。

「エリーゼ!!」

「アンセル…ありがとう。」

「なんて無茶を…。だが、こちらこそ命を救ってくれてありがとう。」

ふふ、とアンセルに笑顔を見せれば彼は顔を真っ赤にして目線を外した。


その光景を見ていたクロエはウィリアムに問いかけた。

「彼女は…まさか精霊使い…?」

「僕も詳しくは…」


その時すっかり穢れが無くなり元の美しい姿を取り戻した精霊王がエリーゼに話しかけた。


『お前が助けてくれたのか、ありがとう。その力、精霊使いは代替りしたのだな。』

「はい、今全てを理解致しました。先代の私のお祖母様は既に亡くなり、母も早世のため私が新たに精霊使いとなり、貴方様の力になることを誓います。」

『うむ。我と精霊使いの人間との関係は長い。契約として精霊使いの短命を我が長らえさせていたからな。この地から彼女たちが離れれば、元の短命の運命を辿るだけだ。』

エリーゼははっとした。だからお祖母様もお母様も若くして亡くなったのだ。


2人の会話を聞いていたクロエが口を挟む。

「わ、私の薬は意味がなかったのですか?」

その言葉を聞いてそれまで穏やかだった精霊王の空気が厳しいものになった。

『あれを薬などと…我を呪っていたのはその薬だ。』


その事実にその場にいた全員が驚愕した。

だがクロエが一番ショックを受けていた。

「そっ、そんな…お祖母様が…私にうそをついていたというの…?」

クロエがふらついてウィリアムがそれを抱き止める。


「真相を確かめる必要があるな。だがこの場はもう引き上げよう。エリーゼも力を使って疲れている。クロエもあんな状態だ。」

アンセルがそう言うと皆も同意して、精霊王に告げた。

「精霊王様、我々はあなたを二度と苦しめることはしません。どうか怒りを鎮めてください。」

エリーゼも身体から力が抜けている状態ながらも、声を振り絞って伝えた。

「私からもお願いします。精霊王様、私はこの地に戻りました。精霊使いの名にかけて、二度とこのような事がないようにいたします。」


『分かった。お前に免じてこの場は引こう。気が変わらぬうちに去るがいい。』

「ありがとうございます。」


そうして一行は精霊の泉を後にした。



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