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9/11

恥をかきました。かわりに私はレベルアップをするようです。

いつも通りの夜9時

私は深呼吸をした。

わたしは今集中している、ちっぽけな秘密を守るために。そして私はゲームにログインした。


…………。


いつも通りギルドメンバーがちらほらと集まって話をしていた。これはいけると思った私はいつも通り自分からではなく相手から話しかけられるのを待った。

いつもと違うことを全くしない、そうして今日はやり遂げる。


すると数人が私に気づいたようだった。


「昨日はおつかれ」

「こん!」

「おつ!」

「こんってww」


この雰囲気にほっとした。昨日の動揺とは裏腹に、今の私はどこか落ち着いているしている。昨日の出来事を乗り越えたような、そんな気がしていた。しかし、これでひと安心か、そう思ったのも束の間だった。


「おお、じゅんさん!」


それは昨日可愛いじゃんwwと言ってきたギルドメンバーがちょうどログインしたのだった。そして私は願った。これ以上は何も余計な事を言うなと。


「昨日は買いすぎちゃったなwwこれだと今月は何たべればいいことやら」


私は心の中でガッツポーズをした。やった、やった!

見事に二度もの危機を乗り越えることができた。もうこれ以上、怖いものはない。そう確信した。

ギルドチャットは、昨日の出来事で持ちきりだった。あちらこちらで、昨日のことを話題にしており、まるで昨日の出来事が昨日の出来事のように、何度も何度も繰り返し語られていた。


そんな中、私はふとギルドメンバーたちの服装に目を向けた。すると、以前とは明らかに違う服装をしているメンバーが何人かいることに気づいた。もしかしていかないと言っていたけど実はマーケットに行っていたのか?そんなことを考えながら、私はチャットを見ていた。


突然、私の名前が呼ばれた。まさか……?

恐る恐る発言者のほうを見た。すると、その人は私に向かって話しかけてきた。「じゅんさん、髪型は変えないの?昨日の感じならもう少し長い方が似合うかもよ」

そう言われた私は、ハッと我に返った。

まさか、いきなりこんなことを言われるとは思わなかった。しかも、昨日の出来事と関連付けている気がする。一体なぜ、彼はそんなことを言うのだろうか……、と私は戸惑いをギリギリ隠しながら、ただただ相手の言葉を聞き入っていた。


するとまるで今までの決壊がはずれたかのようにコメントがあふれた。


……これはもう終わった。そう思った。そして私は決心をする。


深呼吸をして、心を落ち着かせた。焦ってはいけない。冷静に状況を判断しなければならない。そう自分に言い聞かせ、私はゆっくりと目を閉じた。

そして、これまでの経験や知識を総動員し、この状況を乗り切るためのアドバイスを思い出す。

多分これで私は間違いなく終わる。しかしもう既に遅い。既に私は終わっている。

そう考え、私は自信を持って書き込んだ。


「そんなこといわれると照れちゃうな(^▽^) ちょっと変えてみようかと思うんだけどどうやってやるの、まだわからなくて('ω')」


「……???」

「いきなりどうしたwwww」

「のっとられたんかwww」

「おじ、いきなりどうしたんですか構文できあがってますよ。。」


私は心の中でこっそりとガッツポーズをしながら、同時に、何かに見放されたような、虚無感を覚えた。まるで、大切な何かを失ってしまったかのような、物悲しい気持ちと、目標を達成した喜びが、私の心の中で複雑に絡み合っていた。

しかし、私は冷静に自分自身に言い聞かせた。これは、私がこのゲームの世界で生き残っていくための、決して避けることのできない道程なのだと。

たとえ、それが私にとって苦渋の決断であったとしても。この選択が、私がこのゲームにおいて、確固たる地位を築くための第一歩となるのだ。そう確信した私は、胸を張って気になっていた質問へと移った。


「さっきまで言ってた髪型変更ってどこでやるの?」


「髪型変更は昨日のマーケットみたいに特殊な店があるんだ。そこに頼むことで変えることができるよ。プレイヤーランクによって頼める種類が増えていくんだよね。今のプレイヤーランクだとまだ頼める者はないかもしれない」


自分がまだそこまで到達できていないという事実に気づいた時、私は深い失望感に包まれた。

改めて、自分のプレイヤーランクと、他のプレイヤーたちの圧倒的な差を見比べてみると、その落差の大きさに愕然とした。

彼らに追いつくには、一体どれほどの努力と時間がかかるのだろうか。そんなことを考えれば考えるほど、気が遠くなりそうだった。果てしない道のりを前に、私は途方に暮れた。


「ランク上げたないなら今度、新メンバーを記念してボス討伐企画する?」


そんな誘いがいきなりきた。そしてあまり発言が多くないこのユーザーを見て、私はふと気づいた。このユーザは確か他のメンバーと少しもめる人だったはずだ。ギルマス補佐の伝え間違えなのだろうかと少し疑問に思った。


「ありがたい話なんですけど、私でも倒せるんですか?」


「大丈夫、大丈夫。それは私があと数回で倒せるまでダメージ与えておくから。あとこれは何もただランク上げしてもらいたいだけじゃなくてギルド戦時にどうやって動くかに関しても知ってもらう目的もあるんだ。空いている時間は何時頃ありそう?」


ギルドチャットの固定欄にカレンダーといつ空いているのかを記入できるようになった。私はここ最近、特に忙しい日がなかったので指定された一週間はどこでも行けそうだった。


「じゃあ、とりあえず明日まで投票受け付けてるから、いける人は来てね」


そうして昨日の話も全て終わり、ギルド戦へと本格的に向かっていくのだった。

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