8. 作戦は順調に進み、
一番右側を行くロイク中隊は時々行う後方のロイク基地の総司令が率いる通信車両との通信で作戦が想定通り行われているのを知った、この後に起きる事を想定し少しだけコースを変更する。その数分後、前方にミサイルを確認した。キルリオが使う光のミサイルではなく一般的な形状の鉄の塊のミサイルが飛んできていた、ロイク中隊はすぐさま近くの遮蔽物に身を隠しスモークを展開する、そしてさらにジェットを使わずにロイクの足を使って隠れる遮蔽物を変える、キルリオの使うミサイルと違い今飛んできているミサイルは普通の国のミサイルと大差は無い、スモークに隠れて、さらに遮蔽物に隠れるロイクに正確に当てることなんて不可能なはずだが、ソレは今までのデータを当てにするならである、ロイク隊は負けられないこの一戦の為にこの一連の回避動作を何度も練習してきた
ミサイルは岩にぶつかり、ロイク隊の損害は小破2機、そして再び飛び始める、少したって第2波のミサイルも飛んできたが同じように身を隠し今度は小破3機と中破2機を出しつつも凌いだ。第3波が来るまでの間にとロイク隊は再び飛んでいく、プラントがそろそろ地平線の先に見えて来そうな距離にまで近づいたところで後方からキルリオが予想よりも早く追いついてしまった
キルリオはミサイルを12発撃つ、どのみちあまり有効打にならないのだから足止めをしつつ接近してライフルで倒すつもりだ、しかしロイク隊は止まらない、中破した2機を置き去りにしてコースをさらに少し変更しつつ前の二つの中隊がやったようにばらばらにではなく今度は10機が前方に飛びながら前に向かってスモークを放った、スモークミサイルと兵士たちが読んでいるソレはロイクの前に高速で飛翔しスモークを展開していく、そしてその中をロイク隊は飛んでいく、12発のミサイルでは攻撃範囲も威力も十分ではなく中破一機で終わり、ジェットが使えなくなったその1機と事前に中破した2機を除けばこのロイク中隊が目的地としていた場所に逃げ込むことに成功した。ソレは旧市街地、つまりはビル群のある廃墟である
しまった。キルリオのパイロットがそう思ったときにはすでに遅かった、追加でミサイルを撃ってもロイクに届く前に逃げ込まれてしまう、ライフルもこれだけ離れているうえに回避機動を取りつつ進んでいるロイクに当てるのは難しい、何発か撃つも一発が掠って終わりだった。キルリオのパイロットは出し惜しみをせずに全力で攻撃をするべきだった、しかし敵を倒しつつ戦闘ペースを考えて、さらに増援が必要か?敵の目的地は?作戦は?そんな事をすべてたった一人の人間にやれと言うのは酷であろう、キルリオ専属のオペレーターもいるが伝えられる情報量には限りがあるし、現場を知らない人間に理不尽な命令をくだされるという事を防ぐために、現場での判断がある程度優先されていた、今回はソレが裏目に出すぎた
キルリオは廃墟の上空からロイクを探すが彼らはすでに隠れていた、光学センサーでも赤外線センサーでもロイクは見つけられない、ジェットも切って完全に潜伏しているのである、こうなると索敵能力を持ったキルリオ、正確にはその能力を持ったパイロットが居なければロイクを見つけるのは難しい、廃墟の中を飛びまわって一機ずつ見つけて倒していくしかないが、そんな事をしている間に残りのロイク隊がプラントに到着する、かと言ってプラントから目と鼻の先にいるこのロイク隊を放置する事なんてできない、一番左側のロイク隊でも援軍に来た別のキルリオ2機と似たような光景を作っていた。キルリオは強力な兵器であるが、だからこそその数には限りがあった、ましてアスファルト国のロイク80機をたった1機で殲滅したあのキルリオは特別だ、スピリット国にとってエースの中のエース、その絶対の一枚を今回の戦場で使ってる以上他の戦線に普通のキルリオを多く配備しなくてはバランスが取れない
これ以上この戦線にキルリオを出せば、その分防衛ラインに穴が開く、スピリット国の技術を狙っている国は多く、今現在も大国ラグナとの戦争は続いている、これ以上出せば更に他国まで宣戦布告しかねない
キルリオのパイロットには時間の余裕が無い、とにかく1分でも早く敵を撃破するためにと廃墟の中に飛んでいくがココで思わぬ妨害が入った、地平線の向こうからの援護射撃がきた、曳下射撃もしくはエアバーストと呼ばれるソレは廃墟の上空で炸裂し大量の爆風と破片をまき散らした、次々とビルが破壊され廃墟のどこかに居るはずのロイク隊も無事ではないはずだがそれでも姿を現さない、キルリオもこれだけの攻撃を受ければさすがに消耗は免れず、バリアが少しづつ削られていった。ココを捨てて他の所に行くか、あくまでもココでロイク隊を探すのか、あるいはこの邪魔な援護射撃を先に始末するべきなのか、もはや考えている時間すらなく、キルリオのパイロットは完全に詰んでいた
キルリオは廃墟から離れ援護射撃が届かない場所に行く、程なくして援護射撃は止んだが、廃墟に近づけばまた始まるだろう、ソレは良い、どのみちもう近づく気はない、いくらキルリオの性能が高くてもこの状況では普通に戦っていても短時間で勝つのは不可能だ、だから・・・切り札を切る
キルリオは出力を最大に上げライフルを廃墟に向ける、ライフルの銃口に魔法陣が形成される、最初にキルリオが爆撃を行ったときは4層、しかし今度は10層もの魔法陣が形成されキルリオの背後には翼のような光が発生する
何をするつもりだと通信車両からドローンで見ていたロイク隊の司令官は絶望を見た、キルリオが放った一撃は巨大な爆発を引き起こし旧市街地をクレーターと瓦礫に変えた、潜伏していたロイク隊は状態を確認するまでも無く全滅である、援軍に来たキルリオも同じように巨大な爆発でロイク隊全滅させ、残すロイク中隊は2個となってしまった、しかもまだプラントにはたどり着いてすらいない状況である、状況は完全に逆転されてしまった
三行要約のターン
頑張って廃墟のビル群に逃げ込んだロイク隊
ロイク隊「隠れんぼに付き合わないとプラント壊す」
キルリオ「知るか、街ごとぶっ壊す」
っと言うわけで8話終了、区切り良くするために短めです、戦闘も佳境ですなので、もう少しで、終わります。戦闘終了とその後まで少しやって一部終了。続きはなくもないですが終わりまで書いてないので投稿出来るかは微妙ですね