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6. 準備を整え

 ベルナールと別れフーゴは呼び出された部屋に向かう、部屋の中には軍服を着た人が何人かいて、フーゴに向かってこれからの処遇を言い渡す。要約すればその内容は前回の敗北による処分を保留するという物だった。保留という事は次の戦闘でまともな結果が出せなければその戦闘でなんのミスをしていなくても保留にしていた今回の件を蒸し返して処分することも可能という事である、フーゴにしてみればチャンスはもらえたが全く安心できない状況だった


 部屋から出るとベルナールが歩いて通り過ぎようとしていた


「よお、今終わったのか?」


 ベルナールは部屋を通り過ぎようとして偶然居合わせた


「待ってたのか」


 ように見せようとしているがフーゴはコレを偶然と感じる程鈍くは無い


「そんな事よりもちょっとついてきてくれないか?」


 ベルナールはそんな事は些細な事だと流しつつ、話を切り出した


「さっきので終わってなかったのか?」


 ついさっきロイクのドッグで十分話したはずだったが


「いや、さっきのとは別件、これから会う女性の事なんだが美しいが難しい人でな」


「をい、そんな難しい顔して何を言い始めるかと思ったらデートかよ」


「そんな顔してたか?そんな事より頼むよ親友、お前にも一緒に来てほしいんだよ」


「都合のいい時だけ呼び方を変えるなよ、英雄様は忙しいんだ、お前のデートに付き合ってる暇はない」


 そうは言いつつも結局は折れてベルナールに付いて行くあたり自分が無いというか意志が弱いというか、という感じである。そもそも現在フーゴは仕事時間でありながらまともな仕事を貰ってない、なのでココで断ってもする事が無かったりする。まぁ、仕事時間に友人のデートやら合コンやらに同伴というのもどうかとは思うが


「どうしたフーゴ立ち止まったりして」


 ベルナールに付いてきたはいいのだが、フーゴは部屋の前で立ち止まった


「をい、ココは会議室じゃないか、デートじゃなかったのか?」


「オレがそんな事を一言でも言ったか?今は仕事中だぞ?それに基地の作戦参謀は間違いなく難しくて美しい女性だろ?」


 嵌められた、そう感じた時にはベルナールが会議室の扉を開け中に入っていった、中には司令官付の作戦参謀が居た、前回や次に行う作戦を実際に立てているこの基地のトップの一人、そしてもう一人は次に行う作戦のロイク隊の隊長を務めるであろう大佐が居る


「どうした入りたまえ」


 さも当然と言わんばかりの空気を大佐が醸し出した。フーゴは上等兵、どう考えても場違いだろと言いたいのを我慢しつつ逃げる事も出来ずに入っていく


「そう緊張するなよ、話し合うのはオレだからさ」


 まるで庇ってあげてるような雰囲気を出すが、フーゴからすれば酷い話である、こんなところに引きずり込んだ挙句何を言ってるんだと大声で怒鳴りたいのを何とかこらえる、そもそも大事な会議か何かの席に自分が居たら迷惑のはずだと思っている


 そんなフーゴを差し置いてベルナールと大佐、そして作戦参謀は話し合いをしていく、内容は次回行う作戦についてだった、参謀が次回の作戦について流れを説明していくった


「以上が次回行う作戦の概要です、つきましては貴方は次回行う分散進撃の中隊長をしてもらう事になったので先にこうして説明をしているところです」


 参謀がベルナールにそう告げる、ベルナールは参謀にいくつか質問をしていき、最後に分かりましたと返した、しかしそこで話が終わらなかった


「フーゴ、お前はどう思う?」


 ベルナールが不意に話を振ってきたのだ、それも次回行う作戦について、まるで今日の昼飯を何にするか聞くような気軽さで、しかも参謀も大佐もベルナールの暴挙を止める様子が皆無である、10秒程の無言の圧力に負けてフーゴは一兵士の戯言として聞いてもらいたいと前置きをしてから話し出した


「できるのであれば、国境を超えるまでは分散進撃ではなく、集団での行軍を具申します」


 フーゴの意見に真っ先に参謀が反応した。分散進撃、つまり戦力を中隊規模にわけて多方向から進軍させるというのは前回の作戦前にフーゴが言っていた事だからだ。前回の作戦ではフーゴは敵の使う強力な爆発攻撃でまとめてやられるのを嫌がった、その上最初から敵の兵器には勝てないと思ったから中隊や小隊規模に戦力を分けて、敵に狙われた部隊を囮にしつつ他の部隊を進ませようと考えた、参謀はソレを聞きながらも機体間の距離を開けて爆発攻撃での被害を減らしつつまとまって行動し、80機での攻撃によって敵の兵器を無力化しつつ進軍する作戦を立てた。結局それは失敗に終わり、今度は最初にフーゴが言っていた作戦で行こうと言ったのに今度はフーゴが最初と反対の事を言ってきたのだ


 参謀はつい力が入り睨む形になり、フーゴは再度あくまで戯言ですと言い謝りだした。これでは話が進まないとベルナールが横から口を出してきた


「良いじゃないか、とりあえず聞くだけ聞いてみようぜ?聞くだけならタダだろ?」


 参謀としてはコレが無駄話であればたとえ数分であろうと無駄な事をしてる余裕は無い、何しろこの3日間の睡眠時間はせいぜい4~5時間程、その上仕事は山積みなのである。しかしこの話に国の存亡がかかっている以上仮に無駄に終わる可能性があろうとも聞かないという選択肢は無い、目つきが悪くなってしまった事を反省しつつ話の続きを促した


「その・・・分散進撃をしないというわけではなくてですね」


「フーゴ、普通に話していいぞ、っつかオレらに気を遣うんなら出来るだけ手短にな」


「つまりですね前回自分らロイク隊は80機でまとまって侵攻作戦を行い敗北したわけですが。その・・・たった一機に壊滅させられました。であればもし次の作戦時に50機でまとまって進行した場合敵はどう考えるでしょうか?」


 フーゴのその話を聞いて参謀と大佐はハッとした、まだよくわかってないベルナールの為にフーゴは言葉を続ける


「50機のロイク隊に対してスピリット国は前回と同じかそれ以下の戦力を出そうとするはずです、少なくとも二機以上の機体が迎撃に出てくるとは考えにくい、しかし国境を超える前から分かれて行軍する場合は・・・」


 そこでベルナールも気づいた、最初から戦う事を放棄している陣形を取り進軍してきた場合、敵は防衛の為に二機以上の機体を出してくる可能性があった、もちろん前回の作戦でもソレは同じであるが、前回はどのみち勝てないのなら分散進撃の方がよいとフーゴは思った。しかし今回は少し話が違う、失敗した前回のおかげで50機のロイクがまとまって国境を超えれば前回と同じような対応をしてくる確率が高い、その分の油断を誘えるという話だった


 参謀はこの考えに悩む。人は今まで努力して得た前提を覆すのはかなり難しい、費やした時間や努力が無駄だったと言われてるようなものだ。かつて飛行機の強さを信じられず大艦巨砲主義を貫いた人たちがいたように、新しい戦術というのは今までの戦術を知る人にとっては素人がバカな事を言ってるようにしか見えない事も少なくない、それくらい視点を変えるというのは難しく困難な事だった


 フーゴの言った戦術は普通の戦争の話であれば悪手以外の何物でもない、同じように攻めればたとえ多少アレンジを加えても似たような結果になるのは目に見えている、しかし相手はスピリット国、たった一機の人型兵器、通称キルリオによって80機ものロイクを殲滅できる力を持っているのだ、多少の油断によってどんな結果になるのか、参謀は想像するのが難しかった


 かくして会議は続きフーゴから話を聞き、参謀が合図をするとソレを受け取ったベルナールは


「フーゴありがとな、先に帰っていいぞ、また呼ぶかもしれんけどな」


 とフーゴを帰した。参謀は一息ついてフーゴの直しを受けた作戦書を改めて読みつつ口を開いた


「リハーサルと違いますよ」


 参謀にチラリと目を向けられたベルナールは


「でも話の流れ的にあの方が自然だったじゃないですか」


「そうですが、ソレに合わせる私たちの身にもなってください、彼に作戦を立てさせてると自覚されたら作戦の質が下がります」


 フーゴはスピリット国に対して有効な戦術を考え付けるが、自分が作戦を立てていると自覚すれば途端に変な作戦を立てだす可能性が高かった、あくまで彼は横から口を出したり、自分が期待されていないという前提の下でしか力を発揮できない人間だった


「そうは言いますが、そもそもこの状況自体が不自然なんです、なんで作戦参謀と大佐が中隊長一人を呼び出して会議なんてするんですか」


 作戦というのは普通は参謀と一部の人間で考えて、ソレを大佐や大隊長を経由して中隊長や小隊長に作戦を告げるのである、中隊長は何人もいるので数名、あるいは数十名を集めてまとめて作戦を伝える、中隊長一人を呼びつけるなんて普通はしないし、したとしても意見なんて聞くわけが無い


「ですが他に妙案が無いですしソレを考える時間もありません」


「分かってますよ、だからこの不自然な状況でソレを自覚させないようにするには、この状況の事を考える時間を与えないのが一番なんですよ、参謀殿の話の最中のアイツは明らかにこの状況について考え始めていました」


 結局、臨機応変に対応するしかないという結論にいたり、この日は解散となった。後日改めて直した作戦書を再度フーゴに見せて直しをさせていった。余談ではあるが、フーゴに見せる作戦書は実は実際の作戦で使う作戦書ではなくフーゴにばれないように改変した偽・作戦書で、偽・作戦書の中から中身が本物と同じ部分をフーゴに直しをさせ修正箇所を反映させて真・作戦書を作るのである、そしてその真・作戦書をもとに偽・作戦書Ver2を作りフーゴに直しをさせてソレを真・作戦書に反映させ真・作戦書Ver2を作る、そしてそれを元に・・・という具合である、作戦書を作る事務方の仕事量たるや紙の束が天井に着きそうなほどであり不眠不休で仕事を続けている、効率の為に睡眠を取った方が、等と言おうものなら握りこぶしが飛んでくるので注意が必要だ、中には薬を使用している者すらいる、もちろん違法だがソレを咎める事が出来ない程色々とギリギリなのである


三行要約

ベルナールに待ち構えられていて、ついていくと偉い人に囲まれて意見を聞かれたフーゴ

なんか戦争準備進んでる


っというわけで三行要約終了。ようやく内政ターンおわって戦争フェイズに入ります

以上誰も読まない後書きでした

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